FXや株の世界で「サイクル理論」というと「レイモンド・メリマン」や国内では「松下誠氏」のことがまず思い浮かびます。相場の世界のサイクル理論とは価格変動が日々起こっている中において、ある一定の間隔で繰り返し起きる現象のことをいいます。
短期売買法の世界できわめて有名な「ラリーウイリアムズ」もこうしたサイクルに関して日々研究を重ねており、まったく別の市場の商品のチャートの中から類似性のあるものを見つけ出し、それを応用して相場予想を積み立てています。
最近非常に利用が多くなっているAIの相場予測も単純に相場が上にいくか下に行くかをデータで予測するのではなく、膨大な過去のチャートデータの中から類似性のあるものを徹底的に抽出して先行きを占っているのが現状です。
我々は一般的な社会生活をしていますと、相場に一定のサイクルが存在することはあまり意識しなくなり、その都度都度で相場が上に行くのか下に行くのかを考えてしまいがちです。
しかし、株も為替も常に相場は循環で上がったら上がりっぱなし、下がったら下がりっぱなしということはなく「一定の波動が存在する」ことだけはどうやら間違いのないもののようです。
サイクル分析では値幅はわからない
たとえばドル円でいいますと、概ね3か月から6か月程度でどれだけトレンドが出ていても一定の上下サイクルを動いている感じは常に取引をされていると感じる方も多いことと思います。
これは投機のみならず実需が実際に存在するからで、人の経済活動、企業の決算や月次清算など様々な事情が重なって、相場の価格レベルは毎年変わっても一定のサイクルが市場に存在することは理解できます。
このサイクル分析ですが、循環サイクルがあることはわかっても、その時期にどれだけの値幅が出て下がるのか上がるのかについては、全くわからないのが玉に瑕ということになります。したがってどのレベルの価格になるのかについては別にチャートを利用した分析を並行する必要があります。
波動理論はもっと利用しにくい
サイクル理論とともによく聞くのが「波動理論」です。日本ではエリオット波動が有名ですが、このエリオット波動理論は分析する人間によってかなり見方の分かれるものであります。
間違った見方をした場合には「一定の訂正を入れる」という驚くべきものであることから、後からチャートを振り返って、言われてみるとそういうことかと納得することは多いわけです。
しかし、その場ではなかなか応用しにくく、実際にエリオット波動で投資の場で大きく儲けられたという投資家は非常に限られている状況にあります。
足元の為替相場はもっとも方向感が理解しにくい
さて、足元の為替相場を見てみますと、すでに「夏枯れ相場」に突入しており、殆ど動かなくなっていますが、それでもドル円はある程度のレンジ幅があるものの、ユーロドルなどは全く方向感がつかめない状況で、クロス円はドル円より判りやすい動きになっているようです。
この時期は市場参加者が少なくなることから、トレンドとは別に仕掛け売買で相場が下落することは多くなりますが、投機的な動きが主体となりますと、下げた相場はまた戻ることも多くなりますから、一定のトレンドを形成する時期でないこともまた事実です。
ドル円はシーズナルサイクルから言っても、下方向に向かいやすいものですが、市場参加者皆が下方向を意識すると今度は下がらないという問題が起きてしまいますから、あまり決めつけてかかるのも問題です。
一般的には今週よりも来週の本邦勢がお盆の休暇で不在になるときに、ドル円は大きく動きやすくなりますが、これも休み明けには大きく戻すことが多く、動きに乗れたとしても、しっかりリカクしてその後の動きを待つ姿勢が重要になります。
(この記事を書いた人:今市太郎)