週末、NYダウ、S&P500、NASDAQはなんとか前日よりも上回る水準で引けて一旦10日から始まった大幅下落は一息ついた格好となりました。
ただ、NYダウは始まりこそ大幅上昇だったものの一時マイナスに沈みこむ状況となり、112円で無難に週の取引を終えられるかと思われたドル円もまさかの111円台に再度下落するというなかなかスリリングな展開を演じることとなってしまいました。
最終的に終盤大きく株の買戻しが起きたことから112円に戻って取引を終えたドル円ですが、ちょっとした材料ですぐさま下落方向に向かうことが明確になったわけで、よほどひきつけない限りはまだまだ下値を安易に買うことはできないことを明確に示唆した格好です。
ここまでドル円が大きく崩れなかったのは111円台に実需の買い切り玉が並んでいたからだという話が伝わってきますが、たしかに112円割れの一部分は切り崩されたものの111.800円から下にはまだ買いオーダーが並んでいるようでこれが支えていることは間違いないようです。
ただ、当初は112.500円に並んだこうしたタマは下落が厳しくなると見て一旦ひっこめて下に置きなおされたという現実もありますから、状況次第で変化する可能性は高く、とにかく安いコストで買いたいのが主目的なだけに下落してみたら買いが引っ込んでいたという事態になるリスクも考えておく必要はありそうです。
足元の相場はブラックマンデー2.0と呼ばれ始めている
ところで足元の相場状況はブラックマンデー2.0であり、またしても暴落の引き金を引くのではという見方が市場に出始めています。
ブラックマンデーは1987年10月19日にいきなり起きたNYダウの大暴落で、1日に20%以上の下落を示現することになりますが、当時の下落金額は508ドルですから、足元の相場では毎日ブラックマンデーが起きているといってもいいほどその下落金額が大きいことを改めて思い知らされます。
この大暴落が起きたときも、実際に相場に関わっている人たちは一体何が理由でこれだけ相場が下落したのかまったくわからない状況が続いたといいます。
後付の講釈では当時の西ドイツが米国を無視してマルクの金利を上げたことや、コンピュータで採用されはじめた自動売買プログラムが暴走したなど様々な要因が語られ始めています。
しかし、実際はジョージソロスが日米の株を一気に売り込もうとしたことが市場に広まり、多くの投資家が売りで出口に殺到しようとしたことが瞬間的な暴落につながったのではないかという説が有力になってきています。
このブラックマンデーの再来ではないかというのが足元の相場下落に対する一部の関係者の見方になりつつあるというわけで、それを「ブラックマンデー2.0」と呼んでいるのです。
現状が当時に似ているとされているのが、米国政府の赤字の拡大、さらに債券金利上昇、ドル安という3つの材料が同時に市場に噴出しているという点です。
米国政府の赤字規模は1987年のレーガノミクスのころにも双子の赤字として非常に注目されていましたが、当時は日本円にして110兆円、今のトランプ政権下ではなんと2200兆円にも上っているのですから深刻度は87年の比ではなくなっています。
また債券金利の上昇は皆さんご存知の通りで実際のレート自体は87年の足元にも及ばない低金利ですが、ほぼゼロ金利の状態から急激に変化したことを市場が酷く嫌がっているのは明白です。
そしてドル安が示現しはじめているという点でもこの3つの材料が揃っていることは確かで、果たして週明けからの相場が普通に戻るのか一旦戻したところでまた下落に転じるのかが非常に注目される状況です。
一旦は買い戻された米株、日本株ですが、ここから米債金利がさらに上昇すればまた米株は嫌気されて売られることは確実で今回の下げが例年起きる10月の押し目なのか、今年は押し目にならず一旦戻したところでまた下げるのかに市場の関心が集まり始めています。
どうやらファンド勢はあや戻しの後に、また下げるリスクを相当強く感じはじめているようで、個人投資家としてもこの部分をしっかり見極める必要がでてきているようです。それにしても「ブラックマンデー2.0」という名称は極めて不気味ですが、19日には31周年が奇しくも到来することになります。
(この記事を書いた人:今市太郎)