NYダウは本格的な決算シーズンを迎え16日の終値でも548ドル近く値を戻す動きとなっています。また日経平均の先物も大きく値を上げていますから、東京タイムの現物も大きく上昇することが予想される状況です。
セリングクライマックスは既に終了か
相場の大きな調整、下落局面で劇的な暴落が起きて底値を付けるのが「セリングクライマックス」・通称セリクラと呼ばれる状況です。相場全体が急変して短時間に下落が進む場合には、必ずといっていいほどセリングクライマックスと呼ばれる状況が示現しています。
19日にとうとう発生から31年となる87年の「ブラックマンデー」の際にも相場が下落し始めてから土日を挟んで4日目に大暴落が起きています。
ただ、今年2月の米株の暴落の場合には2日で大きな下げは終わっており、その後第二波の下落がでてもいわゆる暴落というのはかなり短時間に一気に訪れてしまうのがある種の特徴となっているのです。
株価の場合、相場が下落し始めると市場参加者が不安から売りにより出口に殺到し始めることに加え、大きく下げた株価のために信用買いで追証が誘発した場合に投げからさらに売りが加速するということはよくあることです。
為替でも追証を求められて期限までに入れられないとなるとすべてが強制ロスカットになりますから、一段と暴落することがよくあるものです。結果的にこうしたほとんどの市場参加者が出口に向かってしまい、大きく下げたところが一旦のセリングクライマックスとなるわけです。
セリクラを迎えた場合、その翌日に上げで始まり、その後はそのまま上昇トレンドに入ると言った実に単純な動きが見られることもありますし、1日の取引の中でセリクラを迎えて引けにかけて戻り、翌日からは上昇局面に変化するといったかなり短い動きが示現することもあります。
さらにセリクラの翌日も売りがでて下落が続くということもあり、そのピークを見極めるのは後からは比較的わかりやすくなりますが、その相場の真っただ中では見分けは結構難しく様子を見ることがどうしても求められることになります。
二番底はいつ来るのか?
相場には大きく下落したあと上昇したものの、またしても下落してから再上昇するという動きがよく見られます。とくに大暴落が起きた場合には大地震後の余震と同じようにかなりの規模の下落がもう一度襲ってくることがよくあるものです。
為替の世界では「ダブルボトム」などと呼ばれて二度目の底値がつくのも二番底の一つですが、株の世界では完全にダブルボトムとはならなくてもそれに近いような下落を示現することがあり、注意が必要となるわけです。
この二番底の場合にはあくまで同程度かそれよりも弱く、最初のセリングクライマックスを上回る深さで下落してはならないという約束事があります。
つまりセリングクライマックスと呼ばれた下落の直後に、さらにそれを上回る下落が起きた場合はセリクラの認識が間違っていたことになるというわけです。
今月中の二番底に注意
日米ともに株価は一旦底値を付けて回復し、やれやれの状態を示現しそうな雰囲気ですが、今月中に再度二番底を試しにいくリスクを常に考えておく必要がありそうです。
相場の結果だけみていますと大きく戻したと言えますが、その途上はかなり微妙で上げたり下げたり神経質な動きを繰り返して上昇しているだけにまたなにかのきっかけでいきなり二番底をつけにいく動きが加速するリスクは十分にあるのです。
とくに今回の下落の原因は明確にはわかっていないだけに、さらなる二番底への動きがどう出るのかも非常に不気味です。月末にかけて引き続き警戒を怠らないようにしたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)