読み込み中...ドル円相場が意外に難しい展開になってきています。
17日の東京タイムでは前日のNY市場の大幅な株価回復を受けて日経平均は上昇しましたが、ドル円は112.500円超えを目指すかと思いきや、112.420円レベルをつけたのが最高で、その後は112.200円レベルから上昇ができなくなり、ロンドンタイムもそうした上値の重い展開が続きました。
そしてNYタイムに入ると前日の株高を受けての利益確定売りがすべての株式市場に示現し、ドル円はさらに下押しして112円台をギリギリ割りかねないところまで押しが入りました。
しかし、その後はNYダウのプラ転などを背景に元に戻すここととなり、午前3時に公表されたFOMC議事録を受けてようやく112.500円を超える展開となり東京タイムへとつないできています。
FOMC議事録では利上げペース加速を示唆
公開された「FOMC議事録」では数人の参加者が、政策が当面やや抑制的になる必要があるとの見解を示しました。
また、他の幾人かは「FF金利を当局が予想する中長期的なレベルを上回る水準へ一時的に引き上げることが必要になると判断した」と記載されたことから、ドル円は米債金利の上昇に連動するように上昇し、米10年債は3.2％台を回復、ドル円もオセアニア市場ですでに112.700円を超える上昇を示現しています。
また参加者は総じて、ＦＦ金利誘導目標レンジのさらなる漸進的な引き上げが、経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、およびインフレ率が中期的に２％付近で推移することと合致する可能性が高いと予想したと記載されており、ここからもかなり利上げの意欲が強いことが明確に示されています。
利上げを急げば確実に株価下落
FOMCの利上げ継続以降が強いことはわかりましたが、ここからさらなる利上げを行って、どこまで米株が持つのかには大きな疑問が残るところで、すでに金利の上昇は各方面に影響を与え始めています。
恐らく当座はドル円については金利の上昇をフォローする形で同様に上昇を示現していくことになるものと思われますが、米国政府自体はドルの上昇を好ましくないと思っていることは明白ですから、単純に115円方向に再上昇した場合には、けん制の口先介入が入ることも考えられ、それ以上に株価がどこまで持つのかも大きな関心を呼び起こしそうです。
中国は為替操作国認定を免れる
日本時間の朝6時に発表された米国財務省の為替報告書では事前の報道どおり、中国が操作国認定をかろうじて免れたようでこれもドル買いの安心材料になりつつあるようです。
もともとクリントン政権以降は中国がこの要件を満たさないように条件自体をいじっているともいわれており、市場が気にしていたほど大きな問題ではなかったようですが、為替では日米の貿易協定において為替条項が本当に入れられるのかどうかが大きな焦点になりそうです。
ここで為替条項が入ったとしても大した問題ではないという報道も見受けられますが、それならなぜ公式的な協定にそうした内容を入れるのかという問題もあり、市場が楽観視しているほど問題にならない内容ではない可能性もあり注意が必要です。
10月も後半にさしかかり徐々に市場を動かす材料は収斂されつつある印象を持ちますが、今年の場合ハロウィン近辺に下押しした時に本当に買い場になるのかどうかが非常に悩ましく、仮に下値を買ってもたいして上昇しないリスクもありそうで、なかなか難しい展開が続きそうです。
本日ドル円は113円台に乗せられるのかが注目されることになりますが、株価のほうは結構不安定な動きを継続中ですから、ドル円は113円台に回復することなく沈みこむリスクがあり、断定しない柔軟な売買方針が依然として重要になりそうです。それにしても見かけ以上に難しい相場が続いています。
（この記事を書いた人：今市太郎）
