今週の為替相場はユーロドルが激しく売られて大きく下がり、ECB理事会の結果期待で大きく上げてドラギ総裁の会見で売られ2か月ぶりの安値をつけるというかなり大きな動きとなりました。
しかし、ドル円のほうは米株、日本株の大暴落を受けてもほとんど動かなかったというのが大きな特徴で、売りに回った向きには若干肩透かしをくらうことになってしまったことは間違いありません。
しかしNYタイムの最後まで見ませんとどういう結果になるかはわからないのもまた事実で、このコラムもしっかり見極めてから書かざるを得ないのが実情になりはじめています。
ドル円が下がらないのにはいくつかの理由が存在
ドル円がこれだけ激しい株の下落を受けてもほとんど下押しせずにこの週を過ごせたのはやはりいくつかの明確な理由が存在するからのようです。
まず一つはここのところずっとそうですが、本邦の機関投資家が米国のオープン外債を金利上昇を購入するためにドル円をコンスタントに買っており、111円に入るとその購入意欲が確実にオーダーになって出てきていることが挙げられます。
また「M&A」がらみの買い切り玉も依然として残っているようで、これだけでもかなりの需要があることが確認されています。もともと需給的にこの時期から年末に向けてはドル買い需要が顕在化してきますから、米国の債券金利の上昇は確実にドル買いにつながっていることがあらためてわかります。
さらにここのところの中国人民元安がドルの米国への回帰を早めているようで、この人民元安が続く限りドルは下がらないという見通しもではじめています。
10日後には中間選挙を控えていますから、このままドル円が本当に堅調かどうかはいまひとつよくわからないところもありますが、少なくとも下落だけを期待して売り上がってもほとんど儲からないことだけはどうやら間違いないようで、当面売り目線だけはやめておいたほうがよさそうな状況になりつつあります。
投機筋は10月の米株暴落の穴埋め展開中か?
ところで、昨日の東京市場の日経平均の動きを見ていますと、投げ売りなんだから仕方ないという見方もあるものの、やはりどうも作為的に売り込まれた感が強く、ファンド勢の投げだけで相場が下落したというよりは時期的に売りで一気に稼いだ輩が明らかに存在したことを強く感じる次第です。
前日の米株の大きな下落でヘッジとして日経平均を売ったファンドがいるという話も聞きますが、最後に無理やり21300円割れまで押し込もうとした辺りは明らかに現物株指数で下げないといけない事情を抱えた向きが市場に存在したことを強く示唆するもので、NYタイム先物は2万1700円台まで回復する場面にはかなり飽きれることとなったのは言うまでもありません。
ただ、一旦戻したNYダウも200日移動平均線を割ったことで、ここからは戻り売りがかなり強くなると思われ、年末にむけてするする上昇する相場になるかどうかはまったくよくわからなくなってきています。
相場にやさしい時間帯など存在したためしはありませんが、足元の状況は冷静さを失うと必要以上に損失を出しかねないだけにポジションの取り方も断定せずにかなりフレキシブルの対応していくことが求められそうです。
相場の中心はアルゴリズム主体でいつでもなんの躊躇もなく手のひら返しをしてきますから、それに耐えられるぐらいの柔軟な対応が求められていることを強く感じます。
いずれにしてもいくらまで行きそうであるといったアナリストの類のもっともらしい予測は当たったためしがありませんから人の話だけで売買するのは禁物です。自らのロジックで粛々と売買してダメなら淡々と損切して出直すというやり方が求められる相場です。
(この記事を書いた人:今市太郎)