11月に入っても113円が非常に底堅い動きとなってきたドル円ですが、先週は日を追うごとに上値が重くなり、とうとう金曜日にそれまでのサポートラインとなってきた21日移動平均線が走る113.07円あたりをあっさり下抜けて112円台へと下落してしまいました。
また112.800円レベルも下抜けて結局今年の最高値からの38.2%を若干下抜けたあたりで止まり、多少の戻りで週の取引を終える形になっています。米国10年債利回りも3.2%から3.06%レベルに一気に下落しており、ドル円の上値を大きく抑える結果になっています。
テクニカル的に見ますと完全に流れが変わってしまったかのように見えるためさらなる下方向への動きに注意が必要になりますが、季節的なことや需給面から考えますと必ずしもここからさらに下落するかどうかは不明で年末少なくとも12月初旬までは、一旦盛り返す可能性も出てきている状況で、なかなかこの下落の動きにはついていきにくいのが正直なところとなっています。
とくに市場ではドル不足が続いていることから国内に関して言いますとドル円のドル買い需要はここからはかなり大きくなることが予想され、値が下がれば一定の需要が出ることから介入のような効果はなくても下支えにはプラスに働くことが予想されます。
またFOMCの追加利上げも12月は確実視されていますから大きく上げることも考えにくいものの意外に下げ止まる展開になる可能性もでてきています。
潜在的なリスクは英国のBREXIT関連ニュース
先週為替相場には大きな影響を与えた英国のBREXIT関連のニュースですが、閣僚辞任の先にあるのはメイ首相の保守党党首不信任手続きが実際に行われるかどうかに注目があつまります。
一定の人数の要請があればすぐにでも保守党内で不信任投票が行われ成立すればメイ首相は党首から引きずり降ろされ首相も交代することになりますから、潜在的なリスクとしてこの動きがどうなるのかにも注意を払う必要がありそうです。
米中貿易問題でなんらかの改善があれば株、為替とも上昇
金曜日NY市場のお昼過ぎにトランプ大統領が中国との貿易問題で中国は解決したがっているなとどいった発言をしたことが伝わって株も為替もにわかにプラス方向に動意づく場面がありました。
結局ホワイトハウスから追認する発言が飛び出さなかったので大きな上昇は維持できずに終わっていますが、市場はこの問題の一定の解決にかなり期待している様子で、プラスの報道がでたり実際に会談で一定の改善が見られた場合には相場の上昇が考えられる状況です。
感謝祭相場が実現するかどうかに期待
この時期米国は感謝祭でお休みですがクリスマス商戦が始まるタイミングでもあることから株価は上昇しやすく、それにつられるようにドル円も上昇するのが常になっています。
今年についてはかなり米株が低迷してハイテク株を中心に既に値を戻せない状態が続いていますが、流通株などを中心にして一定の上昇がはかれらた場合にはやはり12月初旬までは意外に底堅い展開で推移することも想定しておくべきであると思われます。
もともとドル高円高、ドル安円安が同時に示現しやすいドル円は動き辛い時間帯が非常に多くなっていますが、さすがに年末需給ということがあれば一旦は上昇し12月後半からの下落も意識しておく必要がありそうです。
相場ですから絶対ということはありませんが、実需の動きはもっとも顕著に市場に現れることになりますので季節要因についてもしっかり認識しながら売買を進めていきたい時間帯となります。
ただし、今週は21日ごろから米国ではお休みに入りますし、国内でも23日は休日ですからそもそも大きな動きにはならないことも認識しておくべきでしょう。
(この記事を書いた人:今市太郎)