感謝祭明けの米国株式市場はNYダウ、NASDAQ,S&P600ともに大きく値を戻す展開となり日経平均の先物もそれにつられるように2万2000円台をすんなり回復する動きとなっています。
2025年大阪万博決定でセンチメントがリスクオンになっているといった話も聞かれます。
しかし、正直この段階では殆ど関係ないネタであり、感謝祭明けのこの動きが年末相場を買い上げようと画策する向きの作為的なものなのか、ここから矢継ぎ早にある米中首脳会談、OPEC総会、英国議会のBEXIT承認を巡ってこのまま相場がリスオンを維持できるのかどうかはもうひとつ判断がつかないところです。
相場を主導しているのはアルゴリズムですから、いわゆる裁量取引を行う人の感性や状況判断とは異なる動きを見せるのも仕方ないことですが、逆にネガティブな材料が飛び出すと簡単にセンチメントが変わり、反対売買に集中するようになっているのが足元の相場である点には相当な注意が必要になりそうです。
投機筋もさすがにこうした政治イベントでは方向感がつかめないことから、少なくとも米中首脳会談がどうなるのかを見極めてから残された年末相場への参戦を決めたいとしているところが多いようです。
感謝祭明けで間もない参加者が少ない状況で、この相場が大きい流れになると断定するのは気が早そうな状況になっています。
WTI原油先物
原油のチャートを見ていますとトレンドがでやすい商品であるとは言うものの、もはや大きく戻らないのではないかとさえ感じられるものがあり、複合的な理由でこうした状況に陥っていることは間違いないものの株を買いたくなる状況には見えないのが正直なところです。
ドル円は113.600円台を回復で上値狙い目線
こうした中でドル円は113.600円を久々に回復しており、ここから本当に上値を試す展開になるのかどうかが注目されます。
需給関係からいけば間違いなく上昇しておかしくない時期に突入していますが、果たしてここから継続する政治的なイベントをこなして同じ方向感が維持できるのかどうかに関心があつまります。
ビットコインはとうとう底抜け
金融市場全体のセンチメントを反映するとして注目されているビットコインは、とうとう対円で40万円を下抜けるところまで下落し、昨年の最高値からすでに85%も下落するというかなり厳しい状況に追い込まれています。
Data みんかぶ
すでにこの価格水準ではマイナーの負担しているコストを完全に下抜けていることから、ここ2週間ほどでなんと80万人ものビットコインマイナーが撤退を始めているという報道もでており、ここから相場がさらに下がる可能性も十分に考えられるところに差し掛かってきているようです。
ハイイールドボンドの価格も2月を下抜け
市場における「炭鉱のカナリア」として注目されるHYGハイイールドボンドの価格も今年2月の米株の暴落時を大きく下回って下落をはじめており、原油価格の影響をもろに受け始めている状況です。
Data Bloomberg
相場は危ない危ないと言い出したらキリがないですし、暴落の兆候が見え始めてからリアルな下落になるまではかなり時間がかかるものです。
ですから、こうした個別の指標が示唆する兆候だけですぐ暴落だというのはいささか拙速すぎる判断ではありますが、米株を中心としてピークアウトが始まっていることだけは間違いなさそうです。
年末までは持ちこたえたとしても、ここからは再度下目線の相場を意識しておく必要がでてきているようです。こうなるとごく短期のトレーディングベースの売買は引き続き続けるとしても、為替はとてもではないですがスウィングベースのトレードを仕込む時期には見えないのが正直なところです。
恐らくかなりの市場参加者が同様にここからどうすべきなのかかなり思いを巡らせていることだけは間違いなさそうです。
すでに年末残り少ない時間帯ですから、方向性を断定して飛びつき買いするのではなく、まず動きの方向をしっかり確認したから相場にエントリーし、判らないと思ったら一旦退場して様子を見る用心深さが必要になってきているようです。
(この記事を書いた人:今市太郎)