読み込み中...年末になって相場はこれまでになかったリスクがいきなり顕在化しはじめたことから目まぐるしく動きはじめています。しかもその内容はなにひとつとして相場にプラスになるものではなく、リスクオフ満載の状況で例年の年末相場の雰囲気はほとんど感じられなくなっています。
実は1日には逮捕されていたファーウェイCFO
米中首脳会談ではとりあえず3か月バトルの猶予が与えられたことから、米国も一応は譲歩するものなのだという印象が市場に広がりました。
その裏でファーウェイのCFOは1日カナダで逮捕されており、さほど米国との関係の良好性が感じられなかったカナダも結構米国の言うことを聞く手下のような存在であることが明らかになりました。
そもそもイラン制裁を免れるという話でなぜCFOが逮捕されるのかすぐには理解できなかったわけです。しかし、銀行詐欺の疑いもあるというのでは単純な話ではなく、中国とイランの国家的な関係からすればファーウェイのこうした動きも民間企業の独自の動きなのかどうかかなり疑いたくなるような内容になりつつあります。
恐らくこのCFOが逮捕されたのは中国側も判っていたでしょうから、交渉延期が表向きの合意内容になっていますが、なにかほかに米国サイドから恫喝をかけられている可能性も十分に考えられ、テーブルの下では相当な蹴り合いが進んだことも想定される状況です。
逆イールドは騒ぎすぎの感あり
さて、その前日から騒ぎが大きくなっている米債の逆イールドですが、この件はあくまで米国市場のリセッションを示すベンチマークとして有効なだけで、どこの国でもこれがワークするというものでもありません。
日本のように本来コントロールはできないと言われている長期金利まで、JGBの市場を完全にコントロールして事実上制圧してしまったような国ではイールドカーブは何年もフラット化に近い状況が続いており、ほとんど米国のアノマリーはワークしていません。
また当の米国の状況も逆イールドがでたから明日にでも相場が暴落するというものではなく、通常は1年から長ければ1年半のリードタイムがあり今から相場にショートで臨んだりすると大きく担ぎあげられるリスクも十分にあるのですが、なぜか多くの市場参加者が気にしすぎで相場は必要以上に下げる動きになってしまっています。
もちろん市場の方向は参加者のセンチメントが決めるものでえ下手をすれば、センチメントだけでブラックマンデーのような大暴落を引き起こすことすらあるわけですから甘く見るのは禁物ではあるものの、極端に突き進む市場の動きにもかなり違和感を感じるところです。
今年はサンタクロースラリーもこない？
例年のアノマリーから言えば年末多少なりとも株もドル円も上昇方向に動くことが多いので押し目を買っていればそれなりの利益にありつくことができる可能性が高まるわけですが、足元の状況ではたとえ押し目を買っても多少のショートカバーは出るかもしれませんが、力強く相場が上伸するようにはとても感じられず残り少ない今年の相場もほとんど強気にはなれない状況です。
ドル円に関して言いますとM&Aのネタもあって下値は堅いのでしょうが、時限措置でとにかくどんどんドル円が買い上げられていくようにはまったく見えません。
しかもBREXITの問題はどれだけ注意を受けてもメイ首相が11日に議会採決に突き進みそうな状況であることから少なくともこれが終わらないことには簡単に買いにはならないという非常に難しい時間帯に差し掛かっていることがわかります。
しかし来週を超えると一旦相場はクリスマス休暇入りで動かないことになりますから、エントリーすること自体が難しく、結局なにも利益に結び付くような動きをとることができないまま今年も暮れてしまいそうないやな予感が高まります。
とにかく焦っても仕方ありませんので下手に相場に参入して証拠金を減らすのではなく、ここからの相場の状況をしっかり見据えることに時間を使うのも一つの年末の過ごし方になりそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
