英国保守党内でのメイ首相の党首信任投票は結果指示200に対して不支持117でなんとか党首継続が決まりました。これにより少なくともBREXITはメイ首相が在任中に決定することだけは、はっきりしたことになります。
ただし信任が得られたといっても3分の1は不信任という状況ですから、下院でこれからEU離脱案を投票したときに保守党内で日本的な党議拘束をかけられるのかどうかは正直よくわからないところです。
ここからは議会を乗り切れるのか、はたまた着の身着のままの合意なき離脱にシフトするのか、ほぼこの2つに行方が絞られてきているようにも見えます。
下院での承認投票がいつ行われることになるのかははっきりわかりませんが、現状ではこの採決前にEUと再度内容を詰めなおすというのはかなり無理がありますから、おそらくメイ首相も自分がEUから事前承認を得た離脱案でいくのか合意な離脱に突き進むのかを議会に突き付けることになるでしょう。
まだポンドには下落余地あり
とりあえずメイ首相が引きずり降ろされることはなくなったわけですが、それでもここからどのようにこのBREXITが進んでいくのかは依然として不明な部分が多い状況で、もはや英国内の政治的な問題がほとんどになりつつある印象が強まっています。
すべてが議会で否決されたときに合意なきBREXITで突っ走ることになるのか、議会を解散してまた総選挙を行うのかは依然不透明ですが、労働党の内閣になった場合には今よりもさらに不透明感が高まるわけですから、ポンドにとってはなんら上昇の支援材料にはならないことが考えられます。
ただ昨日の投票段階におけるポンドの動きを見ていますと、とにかく闇雲にリスクを感じて大きく下げるというだけではなく、それなりの買戻しも出てきますからなんでもいいので売っておけといった乱暴な売買もできないのが実情です。
とにかくポンド売りをするなら対ドルでも対円でも十分に引き付ける努力をすることが必要になりそうです。またスケジュールがいまひとつ不透明ですからあまり事前に思い込んで売り仕掛けをしておくと、担ぎ上げられたりするといった想定外の事態に損切を余儀なくされることも考えられます。
最初から一定の損切を入れておいてダメならエントリーしなおすぐらいの楽な取引をしていくことが、年末のポンド関係の取引には必須の状況となりつつあるようです。
またドル円についてはクロス円全般が下がることから、2016年6月のBREXIT投票直後のように大きく円高に動くことが期待されましたが、実際はすでに薄商いでそうした動きすら示現しないようで、こちらも下手なポジションを仕込んでおくと肩透かしを食らいそうな雰囲気になってきています。
しかし市場参加者がすでに激減しはじめている閑散相場では年末に向けて動くのはポンドぐらいですから、なにかやるならどうしてもポンドがらみを売買せざるをえない状況で想像以上に難しくなってきていることも確かです。
わかりやすいのはとにかく戻したらひきつけてポンドは売りで、しかもまさかのために事前にストップロスを入れて対応するという基本的な売買姿勢を確保することが大切です。
20日のFOMC(日本では21日早朝)を終えますと市場参加者は極端に減りますし、クリスマス明けは27日以降でないとまともに市場は機能しません。その一方で日本は28日で相場はお仕舞いですから、年末といってもかなり限られたチャンスの中で売買を要求されることもしっかり頭に入れておく必要がありそうです。
年末に張り切りすぎて妙な取引から証拠金を減らして終了するといった、不名誉なディールだけはなんとか避けていきたい時間帯といえます。
(この記事を書いた人:今市太郎)