いよいよ19日ソフトバンク株式会社の上場が開始となりますが、このソフトバンクが引き起こした長時間のモバイル接続障害であらためて、スマホだけでFX取引をすることのリスクを感じた次第です。
これまで東日本大震災でも今年の夏の台風で落雷による停電などでもほとんど影響を受けなかったのがモバイル回線で、逆にライフライン的な意味合いもかなり強かったわけですが、今回のソフトバンクの大規模障害でモバイルも常に万全の状況ではないことを改めて痛感させられた次第です。
現在FX取引をする国内のトレーダーのうち、正確な数字こそわかりませんが、大手ネット証券などの開示しているデータではすでに6割から7割以上がスマホだけで売買をするという数字がでていますから、全体としてもすでに7割ちかくがスマホだけで売買をしている可能性が高いといえます。
10年以上もFX取引をしている身としてはスマホだけで取引を完結するというのはかなり信じられないことではありますが、もはや実態がそういうことになっている以上、スマホだけで取引する場合のリスク管理というものも真剣に考えるべき時期にさしかかっていることがわかります。
そこで今回はこのテーマにフォーカスしてみたいと思います。
携帯がつながらなくなった時に2つ以上の手段をもつこと
日頃PCだけで取引していると、まさかの停電や電話回線切断によるネット接続ができないような事態に陥ったときにいきなりスマホで取引しようとしても、そもそもアプリはダウンロードしていないは自分のFX業者のアクセスIDやパスワードもはっきり覚えていないはで、焦り狂うことになります。
それとまったく逆さまな状況なのがスマホだけで取引をしていたのが回線のダウンで取引できなくなった場合で、日ごろからまさかの時に備えてどのように対応すべきなのかを最低2つ以上の方法を確保することで実現しておく必要があります。
まずはWifiを使うことです。これなら特定の回線が使用不能になってもなんとか同じ端末を使って売買を継続できることになりますから、もっとも最初に試してみるべきものとなります。
ただ、今回のソフトバンクの回線不良ではソフトバンクを利用しているMVNOなども一緒にダウンしてしまったようですから、同じ回線を使わない業者でのWIFIサービスというものをどう確保できるかを考える必要がありそうです。
一番安心なのは個人でモバイルWIFIの端末も保有して少なくとも二つ以上の異なる回線業者のサービスを確保できることになります。
またPCなど別のデバイスから取引できるようにしておくことも解決策の一つとなります。FX業者によっては特別なソフトをインストールしなくてもウエッブベースの画面にIDとパスワードを入力すれば取引ができるサービスを提供しているところもありますので、最悪インターネットカフェのようなところからでも売買が可能になるケースもあります。
これはダウンしてから考えたのでは遅いので、ある程度事前にどのように取引できるのかをしっかり認識しておく必要がありそうです。
一番重要なのはポジション作成時にストップロスを入れること
よくよく考えてみますと、モバイル回線の接続が切れた時にもっとも大慌てになるのがポジションを保有しているときにそれがどうなってしまうのかという問題に尽きるともいえます。
毎回ポジション設定ともにストップロスをしっかり入れておく、あるいはトレーリングストップを設定して一定の下落でリカクするといった基本的な行為を忘れなければ、とりあえず接続不能になっても新たな取引ができないだけで慌てることもないと言えます。
これがしっかり励行できていればPCにせよモバイルにせよ一時的に接続できなくなったとしても被る損失はかなり限定的になると言えます。モバイルで取引されるスマホトレーダーは、まずここから厳密に取引管理していくことが必要になるのではないでしょうか。
この年末大掃除とともにこうしたオペレーションについて再検討してみることをお勧めしたいと思います。
(この記事を書いた人:今市太郎)