20日午前4時に発表されたFOMCの政策金利は大方の市場予測どおり0.25%の上げとなり、声明文も多少の変更は出ましたが、2019年は2回、2020年は1回の利上げということで大幅なハト派的内容にはなりませんでした。
結果を受けて米株は大きく下落しましたが、毎日500ドル規模で下落するNYダウから考えると、それほど驚くべき下落ではなく年末最大と目されたイベントは意外にあっけなく終了ということになってしまいました。
ドル円は仕方なくドル買いとなりましたが、さすがにクリスマス前で休暇を控えていますから、ここから猛烈に買い上がるというわけでもなく112円台の中で推移しています。
トランプの利上げ牽制発言は結局相場暴落時の責任転嫁か
今回のFOMCを巡っては事前ぎりぎりの段階で、トランプと政権の閣僚がやたらと利上げをけん制する発言をしたことから、FRBがそれに屈するのではないかといった妙に都合のいい期待が高まりました。
しかし、結果はそうした脅かしに屈するようなハト派な内容にはならず、現状での株価の下落もFOMCはそれほど大きな問題としてとらえていないことがあらためて確認された状況です。
これを嫌気してここからどこまで株価が下落することになるのかはよくわかりませんが、年内相場はこれにて終了といった感が強く事実上これで相場は動かなくなることになりそうです。
それにしてもトランプ発言は一体なんだったのかが気になりますが、結局のところこの先株価が大きく下げたときにその原因がFRBの政策によるものであるという言質を残しておきたかったからという可能性はかなり高そうです。
ここから株価がどこまで下押しするのかに注目
米債の金利は、今後大量に発行される新規債の影響もあって、大きく下落する可能性は非常に少なくなっていますが、かといって上昇するわけでもなく、為替相場にとってはドルが動きにくい状況が続きそうです。
それよりも気になるのは株価の動向で、NYダウはすでに2万3000ドル台の前半に位置していますし、それに連動するかのように日経平均の先物も2万500円台をつけるなど10月の下落をさらに下回りそうな気配で、果たして年末いくらで終了するのかが非常に気になるところとなっています。
ここ10年あまりでは12月にこれだけ株価が崩れるというのは日米ともにリーマンショック後、はじめてとなる動きで明らかに相場の地合いが変化しているようであり、こうなるとサンタクロースラリーも掉尾の一振も期待できるような状況ではなくなりつつあります。
ここはもう無理せずFOMCを受けた相場の動きが今週の残り時間でどうなっていくのかも見極めて次の取引を考えたいところです。
ドル円については、実需の買い需要は下値ではそれなりに残っていそうではありますが、12月期待された武田のM&Aによる大幅なドル円の上昇はとうとう一度も登場することなくお仕舞いになりそうで、市場が期待していたようなドル円のオペレーションではなかった可能性もでてきています。
今週の木金をこなせば来週は27日のクリスマス明けまではほとんど相場は動かなくなりますから、ポジションの解消などで相場が逆に動くことも考えられますので、いずれにしても積極的な取引をおこなうタイミングではなくなりつつあります。
国内では日銀の政策決定会合も残されてはいますが、基本的には無風の状態でしょうから、ここからは手仕舞い売りなどに十分注意しながら年明けの相場を待ちたいところです。
海外勢はクリスマス明けから本格的な新年相場になりますが、カレンダー的には年内は27,28日しか残されておらず、本格的な稼働はやはり2日からになりそうな状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)