2018年日経平均が年初来高値を更新したにもかかわらず、その後猛烈な売りに見舞われて、年末も粛々とその水準を下げてしまうというまさかの展開が継続してしまいましたが、今年の海外勢の日本株売り越し額は5.3兆円あまりと、アベノミクスが始まった2013年日銀の政策に乗っかる形で日経平均を海外投機筋主体で15兆円も買い上げたのとはまったく状況の異なる展開となってしまいました。
世界的な株式相場の地合いの悪さから年明け以降急激に日経平均が回復して反転上昇するとは俄かには考えらない状況ですが、この外国人売りの5.3兆円が1987年のブラックマンデー依頼の売り越し額になっているという報道を見て、1987年の国内の相場状況を見直してみますと、驚くべきことに気づかされることになります。
足元の日経平均水準はブラックマンデー暴落後よりはるかに下
米国でも株式売買の主体が30歳前後のミレニアル世代中心となっていることから過去の暴落については、すでに2008年のリーマンショックでさえリアルな経験となっていない向きが市場を動かしているわけです。
日本におけるブラックマンデーの話などははるか昔の話としてしか認識されないのはもはや当たり前といえますが、そのブラックマンデー時の日経平均の価格水準を見ると正直愕然とさせられます。
Data 日経平均AI予想 https://nikkeiyosoku.com/chart/
1987年10月19日ブラックマンデーと呼ばれる大暴落がNY市場で起きた翌日の東京タイムにおける日経平均は25745円から始まりましたが、当然下落が始まり21.910円の終値がその日の安値となりました。
当然その後も相場は安定せず同年の11月11日にはザラ場で20500円を割る寸前まで下押ししましたが、その後回復して反転し上昇基調の乗ることとなります。
ここまで書きますとお分かりのとおり、12月の日経平均はすでに2万円を割れる水準で推移しているわけで、今年高値更新したといってもこのブラックマンデー直前の水準にすら戻っていないわけですから、この30年間いかに日本の株価が低迷し投資に向かない市場であったかがよくわかります。
この年の10月、NYダウは暴落前に2200ドル強で推移しており、当日だけで508ドルの下落を見たわけですが、現状の水準は2万2000ドルを割るとか2万ドルを死守できるかという話ですから、まるで日経平均とはスケールが違う話で、40年で実にNYダウの株価は10倍以上の水準にまで成長しており、日本の株式市場とは比べ物にならない状況であることが改めて感じられる次第です。
日本株はPER的に安いという話が常に市場に登場しますが、海外勢にとっては一時的に金を抜くという面ではなかなかいい相場なのかもしれません。
しかし、同じ資金の運用効率を考えれば米国の株式市場が堅調なときになど絶対日本には資金を持ち込まないことでしょうし、購入した株の円安ヘッジのためにドル円を買うという行為も2013年には15兆円分ぐらいがでましたが、足元ではそうした動きはまったく見られず、むしろ売り専門で市場に参入された場合には為替が連動しないのもよくわかる状況となってしまっています。
来年株式市場は米国を中心にさらに調整局面に入るリスクが高まりつつありますが、日経平均も1万9000円以下で恒常的に推移することになるとすれば、日銀が無理やり買い支えて下駄を履かせている5000円分程度の株価が剥落した場合、リーマンショック直前の水準とあまり変わらない相当厳しいところに差し掛かっていることを感じさせられます。
これまでの5年間はたしかに株価が高かったからこそ景気がいい印象を受けましたが、それが剥落した場合一気にリセッションに向かいそうでかなり怖い時間帯にさしかかっています。来年は果たしてどうなるのでしょうか?
(この記事を書いた人:今市太郎)