米中貿易戦争でだいぶやり込められているのではないかという見方をされている中国ですが、年初早々それとはまったく別に台湾をめぐってかなりおかしな動きをしはじめております。
これからやってくる2月の旧正月の前後に向けて、それなりに注意が必要になってきているようです。一部のファンド勢はこの2月の中国の正月休みのあたりをかなり気にしているようで、このまま何も起こらなければ別に問題はないのですが、我々もまさかの事態は想定しておいたほうがいい状況です。
中国台湾海峡で何かやらかす気満々?
中国人民解放軍の機関紙「解放軍報」は1月1日の社説において2019年最優先課題が「戦争準備である」と結構びっくりするような内容を掲載し、それを裏付けるかのように習近平国家主席は翌日の2日、台湾が軍事衝突の対象として念頭にあがると発言して物議を醸しています。
中国共産党の指導部はかねてから台湾をならず者の省(常に中国の一部を示唆する書き方)でこれを制御して早期に支配下に置くことが中国共産党と中国軍の名誉にかかわる問題と位置付けてきております。
習近平は米国と対話でなんとか問題解決に乗り出す意向を見せながら、その一方で台湾問題は次世代に持ち越すことはできないとして必要があれば武力行使もやむなしという強硬姿勢を見せ始めています。
これが単なる口だけの威嚇に過ぎないならばたいした問題ではないのですが、米太平洋艦隊は7日、ミサイル駆逐艦マッキャンベルが、中国が領有権を主張し、軍事拠点化を進める南シナ海・パラセル諸島付近で、航行の自由作戦を実施したことを公表しており、明かに中国をけん制する動きにでているのも気になるところです。
当然中国側は主権侵害であり南シナ海の平和を壊すものだと反発を強めており、米中貿易交渉で対話のテーブルについているその水面下で台湾海峡とその周辺を巡って強烈な蹴手繰りあいが起こっていることがはっきりとわかります。
米海軍は米海軍制服組トップのリチャードソン海軍作戦部長が、中国の軍指導部と会談するため、13日から3日間の日程で訪中すると発表しております。
リチャードソン氏は中国共産党中央軍事委員会の指導部および人民解放軍の沈金竜・海軍司令官と会う予定が公表されており、かなりタイムリーな会談という感じがするのは言うまでもありません。
中台で小競り合いになった場合米国の動きが気になる
さすがに中国と台湾がいきなり武力衝突することはないとは思うのですが、仮になんらかの小競り合いになった場合には米国が登場しないわけにはいかないのが現状です。
この手の地政学リスクが高まった場合、一も二もなくドル円は売られて円が買われることになるため、またしてもドル円でロングを保有し続けるのには相当な注意が必要になりそうです。
中国は14日、麻薬密輸罪に問われたカナダ人男性を死刑とする判決を出しており、あからさまに通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長逮捕の報復とみられる動きにでています。
足元ではかなり民主化して普通の国になったように見える中国ですが、一枚皮をむくと、どうも信じられないような動きを顕在化させてくる点は見逃すことができない状況で、台湾についても何等かの結論を急ごうとしている場合、意外な展開が待ち受けている可能性は高そうです。
ドル円は普通にしていても110円から上を大きく乗り越えていくような材料がない状況です。ひとたび地政学リスクで円高シフトした場合、下押しする危険性は高く、ほとんどの人ば無防備で心配していない2月の節分の前後10日間ぐらいはまさかの時にために一応警戒しておくことをお勧めしておきます。
(この記事を書いた人:今市太郎)