ここ数日は上昇基調にありあまり下値を試さなくなっているドル円で大きな動きは示現しない日々が継続中です。ですが、どうもチャートを分析しますと、そろそろいいところまで戻した感があり、1月相場も終了となることからテクニカル的には下値を試しそうな状況になりつつあるようです。
フィボナッチでみたときに3日の下落幅をどこまで見るかによってフィボナッチリトレースメントの数値も異なるものになります。
年末の一旦の高値の113.700円レベルから104円台まで下落したとしますと、代替61.8%戻しが110.100円から110.200円レベルとなっており、これを大きく超えていくことになるかどうかが一つの見極めの目安になりそうです。
最大に戻しても110.600円レベルを超えなければ、再度下値を模索するリスクがあることを考える必要があります。
金融機関は3日の下落で下値で顧客から持ち込まれていたオーダーに対応せざるを得ない状況となってしまったことから、ことのほか低いところでショートポジションをもつことになり、相場が上昇するたびに損切を繰り返していることも手伝ってなかなかドル円は下がらない相場なってしまっているようです。
また輸出勢も相当109円台中盤あたりで売りを消化したようで、ここから上にはほとんど実需の売りオーダーのないスカスカの状態が続いているようです。
したがってここからすぐにドル円が下落に転じるとはなかなか思いにくい状況ではありますが、徐々に反転して再度下値を試す時間帯が迫ってきているようにみえます。
投機筋の円売りポジションは減っていない状況
米国の政府機関の閉鎖からCFTCの発表データが出てこないため正確な情報がない状況ですが、どうも投機筋はあれだけのドル円の下落があってもこの1か月余りでほとんど円売りを減らしていない模様で110円台から上にドル円相場が上昇した場合にはそれなりの「やれやれ売り」が相当出ることが予想されます。
かなりのファンドがFRBのパウエルがいとも簡単に利上げを思いとどまるとは思っていなかったというのが正直なところであろうと思いますが、思惑で作ったポジションが妙な形で残っているというのが実情であろうと思われます。
また月末から開始されるとされている「日米通商協議」は政府機関の閉鎖の影響を受けているようで、若干開始が遅くなることが予想されはじめており、こちらも開始が迫るとドル円の下落を想定した戻り売りがさらに積み上がることが予想されます。
ドル円が大きく下落した場合東京タイムで再度試しにいく動き
これまでの経験でいいますと、この3日の下落のように東京タイム以外のオセアニアタイムに偶発的、しかも瞬間的に大幅下落して戻したような相場の場合、コアマーケットである東京タイムに再度下値を試しに行くことが多いことは市場でもよく知られていることです。
次回再度下値を試しに行く場合に105円を割れるところまで下落するかどうかは全くよくわかりませんが、それを加速させるのが米国によるドル高けん制発言となりそうです。
トランプがなんらかの形でドル円のレートについてツイートなどの発言をした場合には予想以上に下値を押す展開となり、これが材料になって再度104円方向を試すことになる可能性もありそうです。
BREXITに伴うポンドの動きは徐々にローカルイシューとなってきておりもちろん影響が全くないとは言いませんが、2016年のBREXIT投票結果のような大きな動きは出てきていません。
合意なき離脱が正式に決定すれば話は別でしょうが、ドル円を下押しする材料はもっと別のところから登場することを注意しておくべきでしょうし、一番危ないのは米株が再度下落に転じた場合ではないかと思っています。
2月から3月にかけては株も為替も下落に転じやすくなる時期ですから、ここからのトレードはかなり注意深く行っていくことが求められます。
(この記事を書いた人:今市太郎)