政治混乱と借り入れコスト上昇、財政懸念が経済の足かせとなったイタリアはとうとう18年10~12月期が前期に続いてマイナス成長となったことから、完全にリセッション入りが確定してしまいました。
さらに、今度はEUの屋台骨であるドイツの経済状況が急激に悪化しており、リセッション入りが心配される状況になってきてしまいました。
先週発表されたドイツの12月の製造業受注指数は前月比1.6%低下となり、これで2か月連続の低下となりました。10~12月・第四四半期の指数もマイナス成長は確実のようでリセッション入りはどうやら本物になりつつあります。
イタリアのリセッション入りはそれほど驚く話ではありませんが、ドイツまでもが急激に景気悪化を食らってリセッション入りするというのはまったく想定外の話で、メルケルがのこのこ今頃に来日したのもどうやらこうした厳しい経済状況とは無関係ではなさそうです。
やはりトランプが行った高額関税による中国叩きは中国依存度の高かった、ドイツ経済に具体的な影響として景気減速をもたらしたことはどうやら間違いなさそうな雰囲気です。
消去法で強くなるドル
ドルインデックス5時間足 Investing.com
ドルインデックスを見ますと、1月末のFOMCで一旦大きく下落しますがその後は逆に上昇をはじめており、2月に入ってからは一貫して上昇過程にあることがわかります。
米10年債利回りもそれほど大きく上昇しているわけではないのですから、かなり違和感を感じるチャートの動きになっているのですが、ユーロがそれだけ弱含んでいるだけにユーロドルの影響が6割近いドルインデックスは妙に堅調な推移になっていることがわかります。
ここからのドル円の動きを考えますと結構ドルが強いなかで、リスクオフになると円高も示現するようになるために、結果としてのドル円は依然としてレンジ相場で推移する可能性が残りそうな状況にも見えてきます。
今月米中貿易協定の行方がどうなるのか、またBREXITがどのような着地点になるのかがはっきりしませんと当分相場は大きく動かないことにもなりそうで、FX個人投資家にとっては嬉しくない時間帯が続きそうな気配となってきてしまいました。
しかし殆ど動かない相場もどこかでいきなり大きな動きを示現することがありますので、引き続き注意深く相場を見守ることが必要になりそうです。
依然として112円台には投機筋が抱えるドル円のロングが残っているようですから、ここからドル円がさらに上昇すれば上値を抑える大きな材料にもなりそうで、なかなか相場は微妙なところにさしかかってきています。
2015年の人民元ショック後も1か月半レンジ継続
以前にもご紹介していますが、2015年8月の人民元起因のフラッシュクラッシュが起きた際もその後実に1.5か月近くドル円は狭い上下動を繰り返すことになりますが、10月後半にいきなり二番底を試しに行く動きをはじめています。
この年の場合には10月末に黒田バズーカ2が発動されたことから、相場は株も為替も大きく上振れすることとなりましたが、足元ではそうした支援材料がほとんどないことから下方向に動き出したら、それなりの下落を加速させることも十分に考えられるのでかなり注意が必要になります。
ここのところ為替相場はみなが注目する材料ではあまり動くことがなく、むしろ突然現れるなにかで大きく揺れることが多いだけに、動かなくてもとにかくチャートだけは見続ける習慣をとることが重要になりそうです。
昨年は2月に米株で激しい下落があっただけになんとなく今年も下落方向に緊張感が走る感じがしましたが、いまのところは大きな動きになっておらず、いまひとつ方向感は感じられない状況です。もう少し我慢が必要な2月相場になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)