市場では不安材料も多数うごめいているわけですが、なぜかこうした不安要因すべてに反応しないリスクオン相場が展開中です。
ドル円はとうとう111円台をつける場面がではじめてきており、ユーロも弱い中にあって相対的に強いドル円がどこまで上昇することになるのかが注目されるところとなってきています。
まずは今週末の終値がどのあたりになるのかを注視していきたい状況です。米中貿易協議も3月1日の財政の崖の問題も英国のBREXITもひとつとして結果が出ているわけではないのに、妙な楽観論が形成されて相場が先に上昇してしまうというのは為替の世界ではよく見かける風景ではあります。
テキストの報道情報を読み込んですぐに動きを出してくるアルゴリズムがこうした動きを増幅している可能性は結構高そうで、人が裁量取引で感じる高値や安値のレベル感という視点が益々役に立たない時代がやってきていることを感じさせられます。
やっと発表されはじめたIMMデータでは円ショートが減少中
米国の政府機関の閉鎖が続いた影響でIMMのポジション推移がここ1か月近く遅れており、足元でも1月15日分までしか発表されないため3月までこの遅れは取り戻せない状況が続きそうです。
直近のデータをもとにしたグラフで可視化したものをみてみますと、年初に暴落を食らったせいもあるのか円ショートが結構減り始めていることがわかります。
直近のデータでこれがどこまで減少しているのかが非常に注目されるところです。
Data CME
本邦の個人投資家で25倍程度のレバレッジをかけたロングポジションは、正月の暴落で殆ど切れてしまっています。
しかし、投機筋が昨年段階で金利上昇を当て込んで作ったドル円のロングポジションは、この111円台から112円台にかけてまだ相当しこりのように残っているようで、ここからドル円相場が上昇した場合3月末に向けてかなり「やれやれ売り」がでてくることが予想されます。
また既に4月以降の為替予約を考える輸出勢は、ここからかなりドル円を売り向かうことが考えられ、投機筋は所詮買ったものはどこかで売るわけですが、実需のこうした動きがドル円相場の上昇に大きく影響することが予想されます。
112円台に近づいたところで売り場がやってきそう
為替はあくまで各通貨の相対的関係で決まりますから、いくらまで上がるといった無責任なことは口にできませんが、プライスアクションを見ていて上昇が止まるレベルでは一旦戻り売りを入れて様子を見るのも一つの方法ではないかと思います。
米中の貿易問題が一息つけば、さっそく日米交渉が始まりますが、中国に比べて赤子の手をひねるように簡単に言うことをきかせられる対日交渉では、米国はかなり厳しい要求を突き付けてくるのは間違いありません。
車の輸出に関しての制限がかけられないなら、為替で円高を要求してくるのも確実な情勢ですから、少なくともここから10円以上下方向を一時的にドル円が目指すリスクはかなり高く、そのタイミングは日米交渉が遅れていることからはっきりとはわかりませんが、少なくとも3月中にはかなり明確に示現する可能性が高まりそうです。
ドル円に関してはこのネタが今年前半の最大の利益機会となりそうですから、上げが一服したところで売りを考えてみるというのはなかなか面白い発想ではないかと思います。
ここからは少なくとも昨年の高値の114円を超えていくほどの材料はありませんから、111円から上のどこかのポイントで必ずピークがやってくるはずで、それをしっかり待ってみるのがお勧めです。
ドル円で10円下落の動きがでた場合には年間の上下幅をすべて消化してしまうレベルとなりますので、とにかくこれに一度かけてみるのはそれなりの価値がありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)