このコラムではIMMの出来高については過去に何度もご紹介していますが、同じCFTCが発表しているCMEレポートというのはさらにそのデータを可視化したもので相場の先行きを占いやすい内容になっています。今回はそれをご紹介してみることにします。
誰でも閲覧できるCOTレポート
冒頭でご紹介したようにCOTレポートはCFTCのデータを基にして開示されているレポートでCOTとは「Commitment Of Trader」の略となっています。
ここのところ政府系機関の閉鎖の影響を受けてこうしたレポートの開示が遅延していますが、何とか3月初旬までには通常の開示タイミングに追いつくようになりそうですから、ここからは準リアルタイムのデータとして利用できそうな状況になってきています。
CMEのレポートは上記のように大口投機筋、商業玉(実需)、小口投機筋と別れているわけですが、それをさらにチャート上で可視化しているのがCOTレポートとなります。
このCOTレポートは「https://cotbase.com/」へアクセスすればだれでも無料ですぐに最新データを閲覧が可能です。左にあるカレンシーの中から「JAPANESE YEN」を選択すると上のようなチャートが現れることになります。
一番上のチャートは円だけのチャートですから上方向が円高、下が円安となりますが正月3日に猛烈な円高が示現してチャートは跳ね上がったものの、その後はご存知のとおり円安ドル高が示現していますので下方向に下落しています。
そのチャートの下にあるのが大型投機筋と実需、さらに小型投機筋の動向を示したチャートで、こちらは中心がゼロ、円買いが進めばゼロよりもプラス、円売りならばゼロ水準より下に下落することとなるのです。
国内では大口の投機筋のポジション、つまりこの3つのチャートでは一番上だけが非常に注目されるわけですが、実はこのチャートでもっともトレードの指標として活用できるのは小口の投機筋の動きと言われています。
小口投資家は実際の相場の流れの後追いとなることから、このポジションが積みあがる動きになりますとそれなりに回転が効いて売り買いが循環しているうちは問題ありません。
しかし、急激にポジションが片方に積みあがる形になるとポジションの投げが出やすくなることから相場は大きく動くといわれているのです。
現状のチャートはまだ1月部分までしか表示されていませんので正確な状況を把握するにはもう少し時間を要すことになりそうですが、この状況でひとつ気になるのは、ドル円は売りも買いもポジションが解消しはじめており、加熱的な買いや売りが出てこなくなってきているということです。
実は最近バンクオブアメリカ・メリルリンチが主要な投資ファンドを対象にして調査したアンケートでもファンド勢は年明けから株価がそれなりに戻っているにも関わらず、利益がでたものは売って現金ポジションを増やす動きにでております。
NYダウが2万6000ドル目前まで戻したとか、日経平均が2万10000近くまでまた戻ったといっても、主要な投機筋にまったく過熱感が見られないのがなんとも恐ろしい状況といえるわけです。
一般的にキャッシュポジションを増やし相場から資金を抜くという行為は、相場に大きな変動が起きることを嫌気してとりあえず抜けて様子を見るということを示唆しているわけですから、プロはここから相場になんらかの変動があるのではないかとみていることが気になります。
また多くのファンド勢が昨年10月段階に示現したNYダウや「S&P500」の史上最高高値が相場のピークであり、すでに足元の相場が下落傾向にあるとみている点も非常に気になるところです。
ここのところドル円は完全に米株の動きと正相関の動きを継続しているだけに、ここからの米株が下落途上の戻しに過ぎないとなればドル円も買い向かうわけにはいかなくなります。
今週はじめは米国の政府機関の閉鎖も回避され、なんとか米中貿易交渉も継続中ということで株が一段高になるのにドル円がついていくことも考えられます。
しかし週足で見たときにドル円週足の26週移動平均、つあり過去半年の市場参加者の売買コストの平均がほぼ111.600円レベルにあるだけにここからのドル円上昇はかなり厳しくなることも想定しておくべきで、上昇が途切れれば売り場となることも意識したおきたい時間帯です。
投機筋は個人投資家のように大きなレバレッジをかけていませんからまだかなり112円方向にロングポジションを持っているともいわれますから、ここからの上値でやれやれ売りが出やすくなり、さらに実需筋も年度末もしくは4月以降の為替予約としては111円台中盤以降で売れば確実に111円を受け渡し価格として確保できますのでこのレベルから上は売りが出やすくなりです。
(この記事を書いた人:今市太郎)