このコラムではドル円のCOTレポートなどもご紹介していますが、どうも今週は為替全般に取引が活性化しておらず、限られた市場参加者による売買だけで推移するという非常に取引妙味のない相場が延々と継続中です。
なぜこうした相場展開になっているのかが気になるところですが、やはりヘッジファンドなどが積極的にポジションをとらないで様子見をしていることがこの相場の大きな原因になっているようです。
米株はもう高くて買えない領域に到達
Data https://nikkeiyosoku.com/buffett_us/
ウォーレンバフェットが株売買に利用するといわれている「バフェット指数」とは、株式市場の時価総額÷その国のGDP×100で示したもので100を超えるとかなり割高な状況になるといわれます。
足元のバフェット指数は昨年9月末(赤い矢印の地点)でほぼ150に近づき、リーマンショックで市場が破綻する前につけたレベルまで割高な水準に達しています。
しかしその後年末に向けて下落し、年明けに再度上昇過程に入ってすでに9週目の上昇となっていることから、足元の数字は139.43にまで高くなっていることがわかります。
株というのは未来永劫に上昇するものではなく高値ではやはり長期投資家が参入してこないことから自律的に下落することも多くなり、足元のNYダウやNASDAQなども取引ボリュームは非常に減少していることがわかります。
DATA COT.COM https://cotbase.com/
丸印がついているところが大口の投機筋と実需の売買動向になりますが、上下のどちらも売買数は激減しており、株価は確かに年明けから連続9週間上昇しているものの、市場参加者は極めて限定的な状況であることがあらためて理解できます。
なんらかの大幅下落を期待して買いを控えているのかと心配になる部分もあるわけですが、下落余地というよりはやはり絶対価格が高くてこのタイミングでは購入できないと思っているトレーダーが多いのは事実のようです。
またその一方で保有ポジションをこうした株価の上昇局面で売却し、キャッシュポジションとして市場から撤退するという動きもかなり顕在化しつつあるようです。
こちらは明らかに相場の下落警戒に起因する動きであろうと思われますが、さすがにここまで上昇した相場にはもう乗らずに様子を見ようと考える投資家が異常に多いことがわかります。
株がこの調子ですから、為替が活性化しないのも当たり前の状況で、とくに為替は米中の貿易問題とBREXITの問題がある程度の決着を見ないかぎり当分足元の膠着気味なレンジ相場を継続しかねない状況になりつつあるようです。
ドル円は日米通商交渉を待つ動きも
またドル円に関しては米中貿易交渉の後に日米の通商交渉がスタートすることになりますから、その状況を見計らいながらポジションを傾けようとする向きが多いことも足元の閑散相場につながっているものと思われます。
来週から早いもので3月に入りますが、ここ1週間は現状のような相場から次の動きを狙う展開になるものと思われ、もう少し我慢が必要な時間帯になりそうです。
それにしてもドル円に限らず主要通貨ペアはほとんど動かないのが現状で、豪ドルだけは結構外的な要因から動く場面もありましたが、少ない市場参加者が売りと買いで競いあっているだけで取引としての利益獲得妙味はほとんど感じられない状況です。
ここまで膠着化するのも珍しいものがありますが、相場がそうした状況である以上無理をせず、うまく利益がとれるようなタイミングをとにかく慌てずに末ことが重要になりそうです。
恐らく専業のトレーダーなどは利益を稼ぐことができず、かなり苦慮しているものと思われますが、レンジをベースとした逆張りで対応しても動く値幅が限られているので、あまり大きな利益を追求することはできません。
今しばらくエントリーまで我慢強く待ち続ける忍耐力を養うことが重要になってきているようです。
(この記事を書いた人:今市太郎)