いよいよ2018年度も29日でお仕舞いということなります。株式市場は年度末ということで機関投資家も手を出せない一週間となっているようですが、為替市場は26日を超えたことで受け渡しはすでに4月となっていますから一足先に新年度入りしている状況にあります。
これも手伝ってかこの月末最終日というのはどんな相場展開であっても、一時的にドル円が上昇することが結構頻繁に起きていますので、注意が必要です。
実需の動きからかかなりの確率でドル円は上昇
3月というのは毎年思いのほかドル円はよく動く月となるわけですが、その中でも最終日だけはここ20年あまりの結果を見ても横ばいか瞬間的に上昇することが多く、最終日で大きく下げて終わることはめったに起こらないのがアノマリーとなってきています。
需給のすべての詳細を確認できないためアノマリーという言い方をしていますが、実際にはこれにはそれなりの訳がありそうで決算にかかわる価格水準から少しでも高くしたいと考える向きもあるでしょうし実質4月相場なので買いを入れるという企業もあることが考えられます。
さらにM&Aなどで最終的にドルが必要となる買い切り玉も登場しているのかもしれませんが、円建てでのレパトリが須らく終了している状況下では需給バランスからドル買いのほうが勝るという状況なのかもしれません。
2013年以前では1日に2円以上上昇することも
アベノミクスがはじまってからの6年間は最終日だけで猛烈にドル円が上昇することはありませんでしたが、少なくとも月初の水準で終わることが多いことから、ここから111円台レベルまで一時的に戻すことも視野に入れて売買しておくことが必要になりそうです。
特に東京タイムの仲値やLondonFixingの時間帯に顕著なうごきがでるかどうかに注意しながら取引することが重要になりそうです。過去にはGPIFの資産上の問題から株も為替も一定のレベル以上に保っておかないと損失になるといった配慮から無理をしてドル円を一定水準まで引き上げて保っておくといった動きもみられたようです。
しかし、企業決算上あまり年度末で急激にドル安円高が示現してしまうと具合の悪いところが多いというのはどうも事実のようで、ほとんど月初の水準に戻るのにもこうした見えない理由が機能している可能性がありそうです。
4月初旬からは再度流れが変わる可能性に注意
ただ、3月最終日に特別な動きを見せることが多いドル円ですが、4月に入ると再度転換期を迎えて流れが変わることにも注意が必要となります。
2018年の場合には3月に年間の最安値をつけ、そこから猛然と上昇して8週間上昇トレンドを形成した経緯がありますが、通常は4月に入るとそれまでの動きからさらに転換して下落に転じることもあるため、動きがどうなるのかを見極める必要もあります。
機関投資家が本格的に動き出すのは4月も後半になってからが殆どですから、当面は短期の投機筋などの売買が相場に影響を与えることになりそうですが、4月の初旬からは一定の動きがでるのか、相変わらずの日柄調整相場になるのかが注目されるところです。
為替の取引は全体数量のお9割近くが投機で、残り1割が実需と言われますが、実需は売っても買っても反対売買のおこらない取引ですから市場に与える動きは大きなものになるのは事実であり常に注意しておくことが大切です。
ドル円に関してはさらに大きな動きがでるのは4月の米国企業の決算が明らかになってからではないかと思われますし、日米通商協議が4月中にスタートとなると政治的にもこれが上値を抑えることが予想され、本格的な材料が登場するのはやはり新年度ということになりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)