市場はBREXTIから米中貿易協議、日米通商交渉と結構様々な材料があるはずなのに気がつくと結局膠着した相場になってしまい、ドル円もユーロドルも大きくは動かなくなってしまっています。
さすがにドル円あたりで1日に上下40銭も動かないとなると、スキャルピングにしても数回やるとそれお仕舞いになりかねずかなりやりにくい状況が継続中です。
株式市場のほうも米国はそれなりの動きがあるものの日経平均は大きく下げるわけでもないかわりに上げるわけでもなく、こちらも延々としょぼい相場が続いています。
果たしてなぜこういう日柄調整相場が延々と続いてしまうのでしょうか?
答えの一つは中央銀行が乗り出して、人工的に相場をコントロールしていることが大きく起因しているように思われます。
本来は相場自体が自律的に価格調整を行い上昇と下落が示現する
もともと株も為替も相場には一定の循環が存在しています。
つまりずっと上げるだけではなく一定のサイクルで下落に転じ、価格が押した所でそれが原動力になることでまた上を試しに行くといったダイナミズムが生まれるわけです。
しかし、下値を誰かが止め続けるようなことを延々とやらかすと、結局価格で調整することができなくなり、日柄調整だけでしのぐ相場になることから動かない時間帯がえらく長く続くことになるのです。
考えてみますと日銀が量的緩和と称して金をばらまき、しかも株も為替も一定の操作をするような真似をしはじめてから実に6年の歳月が経過しているわけですから、いい加減相場が動かなくなるのもうなずける状況です。
最近では米国についてもPPT・株価暴落防止チームが結成されて、年金をたきつけては株を買わせて下げさせない動きをしているわけです。
すでにこのコラムでも書きました通り、作為的に「逆イールド」を示現させて、短期金利は上げても長期金利は板付にするといった特殊な戦略を履行し始めようとしているわけですから、主要国の相場がみな似たような状況になっていることはどうやら間違いがなさそうです。
日銀の統制を嫌がる海外のファンド勢
足元ではすっかり海外のファンド勢が日本株を積極的に買うことを見合わせるようになってきています。
もちろんファンドといっても皆が結託しているわけではありませんから、一部は4月に入って買いを入れてきているところもあるのでしょうが、あまりにも日銀によって人工的に値付けされている相場に嫌気するところが増えているのは事実のようです。
2013年の頃のように株と一緒にドル円もヘッジで買い向かうといったダイナミックな動きは一切みられなくなっていますから、日経平均とドル円が連動して動くこともほとんど見られなくなりつつあります。
確かにヘッジファンドが日銀の動きを嫌がるのはよくわかる話で、2015年1月にスイス国立銀行(中央銀行)がそれまで永続的に対ユーロで1.2を超えてきたら介入すると宣言していたものを、いとも簡単に「資金がないので止めます」と言い放って、スイスフランが大暴騰、そのあおりを食らってドルもユーロも暴落したのは記憶に新しいところです。
結局中央銀行はなにか不都合が生じれば、いきなり政策を変えることは十分にありうるのですから絶対と信用するのにはかなりリスクが伴うことになります。
実際FRBの動きを見ていても昨年12月と1月とではパウエル議長の姿勢が180度変わっているわけですから、日銀など信用できないという気分が働くのはよくわかります。
こうした中央銀行主導の官製相場が長引けば長引くほど市場は流動性を失って、つまらない相場展開が長く続くことが予想されるところです。
2月にも膠着しましたが足元の4月相場の膠着再来は、まさにこうしたことが背景に強く働いているのではないかと感じます。
この中でどのように利益を上げていくかは個人投資家にとってもかなり大きなテーマになりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)