さすがに飽き飽きした感のあるBREXITの問題ですが、とうとう延期することだけは決まり少なくとも4月の12日になにかが起こる事態だけは免れたようです。
しかし今回先送りしたことでなにか大きな解決が図られるかといえば、期日が伸びたけであとのことはなんら改善していないという恐るべき状況が延々と進行中です。
関係者総入れ替えの図
これでメイ首相はいつ辞任するのか知りませんが、少なくとも10月までというような話になれば次の政権がどうするのかを決めることになるのでしょう。
今年EUサイドは要人が悉く入れ替えの時期になっていますし、屋台骨メルケルも党首ではないけれど首相をやっているという不思議な状況です。
ECBのドラギも終了ですから、新たな期日に誰がどうコミットしEUサイドもそれを迎え撃つのかまったくわからない状態で、離脱の期日は免れたもののこの先どうなるのかはさらに混迷の度を深めただけにも見える状態です。
実業界は確実に英国を去る動きに
この茶番劇に付き合わされた、「ロンドンシティー」の金融業界はかなり怒りをあらわにしているようですが、より実業に近い製造業や複雑なサプライチェーンをからめた業種などは英国の判断をこれ以上待つわけにはいかない状況です。
とりあえず交渉延長となっても、すでに意思決定をして出ていくところはさっさと英国から離れていくことだけは間違いなさそうな状況です。
やがてまた問題になる合意なき離脱
今回の交渉までのオペレーションでは、やはりメイ首相が具体的な作業のマイルストーンをしっかり理解してプラクティカルに離脱を進めなかったことが大きな問題のようです。
鉄の女「サッチャー」がかなり明確なビジョンとそのための工程管理に長けていたのに比べて、メイ首相自身はそうした人材ではなかったことが詳らかになってきている状況です。
もっとも離脱だけ煽って自分はさっさと逃げたボリスジョンソンなどはそれ以下の存在という感じですが、この国の政治家にはまともに業務を企画しオペレーションするスタッフがいないことあからさまになってしまった感があります。
ということはまた次の期日には今回と同じような「合意なき離脱」の問題が顕在化することは間違いなさそうで、ポンドが大きく戻ったら売りから入るのが利益につながるものと思われます。
それにしてもこの3年間というのは実にお粗末な時間で、他国のことながらどうしてこんなお粗末な展開になってしまったのか今更ながらに首をかしげたくなる状況です。
英国にとっては一連のBREXIT騒動は決してプラスにはなっておらず、必ずや経済の面でも手痛いダメージを受ける瞬間が訪れそうな状況です。
足元のポンド相場はさすがにBREXIT延長となっても大きく値を戻すわけではなく、アルゴリズム以外の市場参加者はいささか食傷気味になってしまっているようです。
当面は次のステージがはっきりするまでは、ポンドに積極的に手出しをすべき時間帯ではなくなりそうで、市場は新たなテーマを探すことになるのではないでしょうか。
何も解決がつかない今年の相場
考えてみますと、米中の貿易協議もすでにこのコラムでもご紹介しているように進展が図られているというものの、具体的な成果はまったくでてきていませんし、米朝の関係もハノイで途切れたから様子がおかしくなりだしております。
それに今回のBREXITの延期が飛び出してきているわけですから、なんらテーマが解決を見ないわけで、相場が膠着するのも無理はない状態といえます。
正月早々に「フラッシュクラッシュ」があって派手な幕開けとなりましたが、その後の3か月半近くは結局膠着が主体の相場が続いている状況です。株も為替も個人投資家はかなり疲弊しているのではないでしょうか。
史上初の10連休がいい休みになればいいのですが、ここでまた波乱が起きる心配は今もぬぐえないままの状態が続きます。
(この記事を書いた人:今市太郎)