茂木敏充経済再生相は4月12日午前、閣議後会見で、ライトハイザー米通商代表部代表との日米通商交渉の初会合を15、16日にワシントンで開くと正式発表しています。
ずいぶんと当初のスケジュールからは後ずれした感がありますが、日本側は相変わらず物品貿易を中心に対象分野を決めるとしていますが、初会合でどこまで議論が進展するかはやってみないとわからないといった心細い発言をしています。
今週いきなり踏み込んだ話になるかどうかはよくわかりませんが、中国、欧州と比較しても最も言いやすい国、かつ言うことをきかせやすい国が日本ですから、最初から厳しい発言がでることは十分に考えられる状況といえます。
TAGではなく包括的FTAの一言がでてもドル円下落?
まず一番日本側が心配しなくてはならないのが交渉の枠組みがTAGではなく包括的なFTAであると米国サイドに最初から齟齬を指摘されてしまった場合で、為替条項を含めて交渉するといった内容について、ライトハイザーUSTR代表が発言したとたんにドル円にいきなり影響がでることも考えられ、かなり注意が必要になりそうです。
なぜ日本側がここまで楽観的になれるのかは全くよくわかりませんが、購入しても欠陥だらけですぐに墜落するF35の大量買い付けをさっさと決定したり、どこの企業がコミットしているのかわかりませんが、米国に7つの工場を建設するなどと具体的な交渉が何も始まらないうちから次々と献上物を差し出してしまう安倍政権のやりかたは決して交渉上手とは言い難く、あらゆる米国の要求を丸のみするだけなのではないかと危惧するところです。
それだけに15、16日に米国が口を開く内容は相当為替に影響を与えそうで注意が必要です。
トランプも閣僚も最も叩きやすい日本を攻めてくる
安倍~トランプは馬が合うなどという報道も出ていますが、交渉に関してはそうした状術の部分が機能するとは思えず、トランプがドル高について不満をツイートでいきなり出してくるとこちらも円高へ逆転する大きなシグナルになってしまう可能性がありそうです。
とくに日本を名指しで円に対するドルの高さを指摘された場合には、かなりインパクトがでそうな状況で、アルゴリズムが間違いなく反応することになる危険性が高まります。
またこのコラムでもすでにご紹介しています通り、ファンド勢は日米交渉でのドル売り円買い仕掛けをかなり考えているようで、円売りが巻き戻しとなった場合には最新のCOTレポートを見てもわかるとおり大口の投機筋の円売りの反対売買により想像以上に円高が進む可能性を意識しておく必要がありそうです。
COTレポート 4月12日付
為替の話が飛び出せば5月の連休に向けてドル円大幅下落か
もっとも政治的に動きやすいのがドル円の特徴ですが、そこに投機筋のドル売り円買いの仕掛け売買が絡んだ場合には、ここから5月の連休に向けて結構緊迫した時間帯が経過することになる点は踏まえておく必要がありそうです。
25日には連休前の「日銀政策決定会合」が予定されていますが、ここでも特段緩和に関する政策が何もでなければ失望売りが加速するリスクもあり、いよいよ5月初旬に向けてドル円の流れが変わるかどうかに注目が集まります。
5月にはトランプが来日して相撲の観戦をするといった報道も見られていますが、この流れは一貫したドル円の円高方向へのシフトを示唆したものと想定しておくのが間違いなさそうな状況です。
先週末ショートカバーからか112円台に返り咲いたドル円でしたが、飛び込み台を単純に高くしただけのようにしか見えないのが現実でとにかく最大限の注意を払うことをお勧めしておきたい時間帯です。
(この記事を書いた人:今市太郎)