いよいよ来5月1日からは新元号が発表となり、平成ともお別れということになります。
巷の証券会社お抱えアナリストの方々の中には「新元号でご祝儀相場が展開される」といった希望とも幻想とも思える不思議な見通しを口にするようになっています。
しかし、実際に新元号が発表されてから、なんとか2万2000円台に載せた日経平均はソフトバンクグループの自社株買いとファーストリテーリングに絡む何等かの買い上げ事情がある投機筋の猛烈な買い上げで、そのレベルを保ってはいますが、これで相場全体がさらに大きく上昇するような浮かれ気分は全く感じられません。
平成元年に改元されたときは、国内はバブル経済の絶頂期でしたから景気は猛烈な勢いで上昇している感覚があり、平成だからというご祝儀感とはまったく関係なく株価は上昇していった印象があります。
今回の元号の切り替えは天皇陛下の生前退位に伴うものですから、突然やってくるよりは事前に一定の準備も行われるものとなっていますから、元号が決まってあたふたするのはカレンダーのような印刷物程度であり、この事案をもって特需が発生するとは思えない状況です。
メディアではやたらと平成最後のという枕詞が使われますが、この30年は金融の視点では本邦の市場は完全に失われた30年が継続しております。
アベノミクスという名の日銀の金融抑圧策が登場してから確かに人工的に株価だけは上昇しましたが、国の国家統計偽装をみるかぎり、数字を改ざんしないかぎり成果も提示できないのが実情で、結局最後まで低迷して時代であったことをいまさらながらに感じさせられます。
そもそも外国人投資家にとって新元号など関係なし
その昔、国内の株式市場が本邦勢主体で動いていたときにはご祝儀相場というのは年末や年始といった時期には確かに示現したこともあったのは事実です。
しかし、足元のようにコンピュータ取引が席捲している中にあって、しかもその中心は外国人投資家勢ということになると、国内の10連休は確かに海外の投資家も相当意識するものの元号が変わって一緒にフィーバーするという発想は全く感じられません。
むしろ米株も短期的にはかなりいいところまでやってしまい、ここからは「Sell in May」のアノマリーのほうがワークしかねない状況で、ここからの連休相場には逆に相当な注意が必要です。
ドルベースでは決して安くない日経平均
チャート 日経予想com
この半年間の日経平均のドル建てチャートを見てみますと、足元のレベルは円建てに比べてかなり高く推移しており、日本版バフェット指数で考えても相当割高な水準になってきていますから、日経平均がここから長期投資視点てどんどん買い上げると考えるのには無理がありそうです。
また米国の株式市場はこの時期低迷しがちですから、それに連動するとなれば上よりは下方向に調整することを心配したほうがよさそうで、ここでも改元のご祝儀相場というのはかなり妄想に近いものが感じられます。
そもそもだれがだれにご祝儀を出すのかということを考えますと、政権が変わって政策が大きく変更になるのと違ってローカルな名称が変わるだけの話は投資市場に与えるインパクトも少なそうな状況です。
Sell Sideの人間が何かにつけて相場が上がりそうだと焚きつけることで商売をしていきたいという気分であることは仕事ですからある意味仕方ないのかも知れませんが、その手の荒唐無稽な話にはさすがに飛びつけないのが現状です。
日米ともにそうですが、株価は高止まりしているものの、それなりにボラティリティも大きく、チャート的には上昇の途上にうあるようにも見えますが、本当にここから新高値をどんどん更新していく相場になるかどうかは相当怪しいものを感じます。
それだけに為替も下方向についていくリスクは常に考えておく必要がありそうです。連休中だけは何事もなく過ぎ去ってほしいと願うばかりですが、一応何があっても対応できるようにしておくことは大切です。
(この記事を書いた人:今市太郎)