読み込み中...VIX先物売りを積み上げる投機筋が週明け6日にトランプの対中関税引き上げツイートがあったにも関わらず、楽観的見通しから買い戻された米株でしたが、ライトハイザーUSTR代表までも関税率引き上げを10日から実行する旨を示唆したことから、火曜日のNYタイムでは大きく売りが加速してNYダウは2万6000ドル割れを示現して取引を終えています。
そもそも月曜の段階でなぜこれほど楽観的に相場が動いてしまったのかクビをかしげるところですが、米中の貿易問題は年初から今年最大のリスクであっただけに、なんとなく交渉がうまくいくのではないかといった漠然とした期待だけで相場を買い上げられるような状況ではなく、より厳しい結果が示現することを覚悟せざるを得ない状況になってきているといえます。
Data Trading view株が下げれば必然的にVIXが上昇するのは当たり前の話ですが、問題なのは投機筋が2018年1月にVIXが大きく跳ね上る前と同様に先物を大量に売り持ちしていることです。
また前回に懲りずにVIXの値が下がる段階で、投げが入ったり買戻しをすることで大きな波乱が起きるリスクが高まりつつあります。
米中問題だけで果たしてどこまでVIXが上昇するかはわかりませんが、北朝鮮の問題も再度顕在化してきていますし、イランをはじめとする中東情勢も国内で考えている以上に深刻化しており、株価下落の大きな引き金としてVIXの上昇が機能してしまうことが非常に心配される状況です。
またVIX先物売りを積み上げる投機筋
CFTCのレポートを見ていますとVIX先物の売りはまたかなりの水準に積み上がっており、2018年2月の暴落の経験がまったく活かされていないことに呆れさせられます。このままでいくとまた同じことを繰り返しかねない状況で、ここからの相場の動きに相当な警戒が必要になりそうです。
Data CFTC
しかし昨年VIX暴騰で大損したはずの投機筋がまたしても同じ手口で金を稼ごうとしているのはなぜなのでしょうか。
市場にはびこる妙な楽観論もそうですが、人の裁量取引が中心でなくなってきたことでどうも相場の雰囲気というものが以前に比べてかなりおかしくなりつつあることを強く感じる次第です。
株式もほとんどがパッシブ運用になってきていることも生ぬるい感じの相場観を醸成している可能性がありそうですが、逆にリスクパリティ戦略は一定のレベルを切り始めるとなんの躊躇もなく損切を始めることから、一つのファンドで損切をすすめればほかに伝搬してしまうというかなりきわどい状況を作り出してしまうのが嫌なものです。
VIXをここから暴騰させる材料は何か？
米国が予告通り10日対中関税の一斉引き上げを実施した場合株価にはさらなる影響がでるものと思われますが、果たしてそれだけでVIXが暴騰するかどうかはまだわかりません。
ほかに決定的なリスクが顕在化してくることも予想され、ここからの相場の見立てはかなり難しくなりそうな状況です。
為替に関していえばドル円はもう一段下げることは覚悟しておく必要がありそうですが、実需筋が買い支えた場合にはそれほど下値を見ない可能性もでてきます。
日米通商協議のほうは特段大きな問題がなかったかのように日本政府が振舞っていますが、為替条項を含めて中国と交渉がうまくいかない分日本への米国の風当たりが厳しくなることも当然予想され、ドル円は円高に向かいやすい地合いがかなり強まるものと思われます。
ここからは暴落というよりは円高へずるずる値を下げる動きに注意が必要でどこかのタイミングでの株価の下落が円高をさらに加速させることになるのかも知れません。
とにかく、相場のセンチメントがいきなり変化しつつあるようで連休明けはこのお休みの時期とはまた違った意味でリスクが高まりそうで、あらためて注意が必要です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
