国内ではこの三連休、Go To Travelの影響もあってか行楽地には猛烈な賑わいが戻ることとなり、すでに新型コロナは関係なしといった雰囲気が全国を覆っています。
どこの国でもそうですが、3か月もロックダウンに近い状態におかれてしまいますと、それが解かれた瞬間に海岸やリゾート地に人が押し寄せたりする光景が見られ、そこに新たに変異したウイルスが感染し始めると瞬く間に新たなウイルスが猛烈な感染拡大に至るという状況が繰り返されているようです。
台湾のように徹底的な検査を行わないかぎり、結局経済優先で制限を緩めると再感染が襲ってくるという悪いローテーションが現実のものになってしまっています。
足もとの国内状況はまさにそれで、キャンペーンに背中を押された多くの国民は既に新型コロナに疲弊し、感染者数の増加情報にも麻痺して自分だけは大丈夫という正常化バイアスのもとに街や観光地に繰り出すようになっております。
2週間後ぐらいにはこれがとてつもない感染拡大を引き落こしてしまった事実に直面することになるのかも知れません。
状況は100年前のスペイン風邪第二波到来に酷似
実は足元の状況は100年前のスペイン風邪の大流行にそっくりです。
当時は光学顕微鏡もなかったことからこれがウイルス感染であることも認識されていなかったようですが、国はなんら人の集まる密集地や長距離の移動をいったものを制限しなかったことから1918年の5月ごと感染が拡大して、一息ついたこのウイルスは同年の11月に再感染をはじめ、なんと翌年1919年の5月までその感染は収まらなかったという事実が残されています。
しかもこの第二波の感染はウイルスが変異し、第一波では殆ど死者がでなかったのに同年の年末から爆発的に死者も増え年始にかけてピークになるという実に恐ろしい記録を残しています。
さすがに現在と100年前では医療体制も違うわけですし、ウイルスの知見もかなり異なるはずなのですが、政権や政府が行っているなにもしないという状況は実は驚くほど酷似しており人の移動を制限しないことも感染の拡大に非常に寄与することになったこともほぼ同様の状況です。
実際100年前はすでに修学旅行の人気エリアであった京都で爆発的感染が認められましたし、青森という出稼ぎの拠点も北海道や関東への出稼ぎ者の集積地として猛烈な感染を引き起こしたようです。
国内状況起因で株が激下げするリスク拡大
気になるのはこうした国内大感染という状況が示現した場合に相場が一体どうなるのかということです。
米株市場では複数の医薬品企業が新型コロナのワクチン開発における治験に成功したというニュースが流れ、相場はすっかりポストコロナを意識するようになっています。
しかし実際にはこうしたワクチンはコロナの悪化を遅らせることが主要な効果になっているようで、接種すればすっかり完治というものではないのに加え、医療機関で接種しなくてはならないという大きな問題を抱えていますから、ワクチン開発成功がいきなりコロナ消滅にはならないという点に気をつけなくてはなりません。
国内では3月にコロナ起因で暴落を食らって以降一切相場はコロナを材料にして下げることはなくなり、むしろ過去29年来の最高値を記録するほど上昇しています。
しかし実態経済がここから2四半期に渡って劇的にGDPが縮減するなどの悪化に見舞われた場合に、株式市場が無関心でいられる可能性は低く、いよいよここへきて国内でのウイルス感染の影響が改めて相場に大きく暗い影をさす時間がやってくることが危惧されます。
年末に政府が非常事態宣言のようなものを再度出さざるを得ない状況に追い込まれ、年始17日間異例の休みにしても感染が止まらないとなればその過程のどこかで日経平均は大暴落する危険性があり、当然ドル円もそれに影響を受ける時間が到来するものと思われます。
実態経済と株価が乖離したままの状況というのはどうみてもおかしかったわけですが、この感染拡大がそれを激しく調整し景気にサヤ寄せする時間が迫っているように思われます。