足元の為替市場は異常とも思えるほど政治ネタに翻弄され、しかもなにか材料がでるごとに頭の悪いアルゴリズムが過剰に反応しては上げたり下げたりしてくれることから日替わりのような展開が続き、非常に取引がしにくくなっています。
ドル円は一旦下を試してうまくいかず戻り局面にもさしかかりましたが、111円台まで大きく戻ることもできず111円から109円のレンジ相場のどちらを抜けるのかがポイントになってきており、全体としては上よりも下に抜ける可能性を心配した方がよさそうな雰囲気になりつつあります。
現状でドル円ともっとも相関性が高く見えるのは米株の状況で、さすがに5月はファンドの中間決算期でもありますからここからどんどん買いあがるというわけにもいかない動きが続いています。しかしさらに注目したいのが6月の相場です。
自社株買いがとまるのが例年6月
これはアノマリーというより厳然たる事実のようなのですが、米国の株式市場を今大きく支えているのが米系企業の自社株買いとなっているものの、5月までに一旦の自社株買いはかなり終了することが多く六月はほとんど自社株買いがでなくなる特異月になっているというのです。
現在ファンド勢も積極的に買わない、年金もここから上値追いをせずさらに個人投資家が全く買いに無関心である米株市場では自社株買いが止まるとそれなりに相場が下落するのではないかという予想が高まりつつあります。
ここのところNYダウは一切2万5000ドルを割る動きをしていませんが、自社株買いもとまってこのラインを割り込むようですと結構下押しするリスクが高まりそうです。
バフェット指数でみてもシラーPERでみても米株はとにかく高すぎて長期投資の向きが手を出せるような状況ではなくなっています。どこかで暴落といわないまでも大きな調整がでても決しておかしくはないところにさしかかっているようです。
米中首脳会談開催中止にも注意
日米の通商協議は裏ではかなり厳しく進展している可能性がありますが、どうも8月まではなにも状況が開示されないことから、問題はやはり米中交渉が焦点となりそうです。
事前の報道ではG20の前後に米中の首脳会談が開催されるという見込みもありましたが、中国側は何も決まっていないといった言い方をはじめており、これが完全に見送られることになると関係の悪化が完全に顕在化することになり、株式相場は米株に限らずかなり大きく下げるリスクがありそうです。
これもちょうど6月後半に向かうことになりますから、ここから一か月ぐらいは注意すべき材料がかなりそろうことになりそうです。
ドル円は東京タイムのどこかで年初の安値を試しに行く
一般的に言われていることですが、ドル円ですとマザーカントリーである日本の稼働時間にほかの時間帯でつけた最安値を再度つけに行く可能性が非常に高くなる傾向があり、年初3日の105円割れまでのレベルと必ずどこかで試しに行くことが予想されます。
すでに半年近く経過していますから、そろそろもう一度試しに行ってもそれほどおかしなことではなく、こちらも相当注意が必要になりそうです。
112円台にあったときには105円割れというのはかなり距離がありそうな気もしたものですが、109円を割れかかる寸前の状況になりますと意外に近いのが105円で、まったくあり得ない話ではなくなりつつあることがわかります。
日々の相場はとにかくトランプ発言や中国の反応、BREXITなど政治に翻弄される時間帯が多いことから方向感を見失いがちですが、いきなり大きな動きが出始めるのにはかなり注意すべき時間帯が迫ってきているようです。引き続き用心深い取引を心掛けたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)