9日のロンドンタイム、日本時間の午後8時過ぎにファイザーが開発していた新型コロナワクチンが治験で90%以上の効果を発揮することが判ったとされる報道がでて、株式市場、為替市場は状況が一変しました。
ドル円は週初から103円割を狙うような動きをしていましたが、このニュースが飛び込んできた8時には103.700円レベルから一気に104.500円レベルに吹き上がります。
そこで戻り売りをした向きをはねのけて、さらに上昇105円手前でも一旦止まりましたがさらにショートカバーを誘発する形で105.600円レベルまで実に2時間ほどで1.85円近い上昇を見せております。
相場ではかなりの人が売り上がって損切りをさせられる状況になったことは言うまでもありません。
■ドル円1時間足
米株市場でもコロナ収束を期待したのかバリュー株が大幅に上昇し航空株や映画関連の株が大幅に買われた半面、ネットフリックスやZoomなどのコロナ禍での利用が促進されたサービスの株が大きく売られることになり、相場の勝ち組と負け組が一気に入れ替わるような動きが示現することとなりました。
マイナス70度~80度での保管が必須という厳しい条件
ただこのファイザーが開発している新型コロナウイルスワクチンは、その後の情報でマイナス70度から80度で保管しないとワークしないことが判ってきております。
変異が進むウイルスにどこまで効果を発揮するのかはまだまだよくわからないことも見え始めており、ワクチン完成で新型コロナ感染収束とは全くならないことも判り始めてきています。
輸血用に血液などはある程度低温保存が維持されていれば車で緊急搬送などもできるわけですが、さすがに超低温ということになると冷凍の物流倉庫でさえマイナス20度前後がほとんどです。
物理的に存在しない保管施設なり移送装置を開発しないことには、ほとんど使いものにならないわけで、今のところワクチン開発はぬか喜びの域を出ていない状況です。
市場がいかにワクチンの完成を待ち望んでいるかということはよくわかりましたし、時間をかければワクチン開発が可能であるという希望は繋がれたことも事実ではありますが、さすがに月曜日のような相場の爆上はやり過ぎです。
一夜明けた火曜日の東京タイムの日経平均も当初は2万5000円台を回復したものの、すぐに2万4000円台に押し戻されています。
金融市場の場合、何かあるとほとんどが暴騰ではなく暴落ですからこうした猛烈な上げは相当驚かされるものがありますが、現実には報道を受けたアルゴリズムのいたずらにも近いものがあり、いささかやり過ぎ感があったことは否めませんでした。
ドル円は105円台を回復したが流れが変わったのかどうかは不明
ドル円はいきなり相場レベルが2円近く上に上がってしまい、市場参加者はここからの水準が果たしてどのレベルに収まるのかを模索する動きを続けています。
105円台はストップロスをつけて60銭レベルまでは値をつけたものの、そこから上は依然として相当重たい状況ですし、下値も104円台中盤から下はかなり底堅くなってしまったようで、値幅のレベルが多少上に変化しただけのようにも見える状況です。
本来は12月に向けてはシーズナルサイクルとしてドル円は上昇しがちですが、今回の相場の洗礼を受けて上昇に転じることになったのかどうかはまだ確認ができない状況です。
たしかに米10年債の金利は大きく上昇をはじめていますから金利についていくのであれば上方向も決しておかしい話ではありません。
しかしFRBとしては金利上昇を抑えたいと思っていることは間違いなさそうですから、12月の政策決定会合でなにか新しい緩和策を出してくることも考えられるだけになかなか微妙な時間帯に入っていることがわかります。
ここからは12月に向けてさらに相場の動きを確認してエントリーしていきたいところです。