米国における今年中の利下げ確率が98%、つまりほぼ100%に近いところまで織り込まれる形となってしまい、市場ではすでに利下げ時期当て大会のような様相を呈しはじめています。
上のグラフは最新のCMEのFedWatchのものですが、最大1bpの利下げを年末までに織り込んだ確率も13.7%とすさまじい利下げ織り込み度になってきてしまっています。
端的に言えば債券市場は非常に市場の先行きに弱気になっているともいえるわけですが、過去の例から見てもここまで一気に利下げを織り込んでしまうのはかなり異常であり、FRBがこの期待に応える形でいつから利下げできるのかに市場の注目が集まることになりそうです。
しかも市場の期待は2回から3回、合計0.75bp以上の利下げを読み込んでしまっていますのでその時期が遅くなればなるほど市場の催促相場が厳しくなりそうで、株式市場の催促の度合いも相当激しくなりそうな状況です。
まず6月FOMC後からすぐに催促相場が始まるか
今のところ6月に利下げすると呼んでいる市場の確率は20.8%ですから意外に低いものとなっていますが、20日日本時間午前3時の政策金利発表とその後のパウエル議長会見辺りから株の催促相場がさっそくスタートする可能性がありそうです。
もちろん一回で0.5bpの利下げもありうるわけですから3回と限ったことではありませんが、7月のFOMCでも利下げが実施されなかった場合早々株価が下押ししそうな雰囲気になってきており、その影響を受けやすい為替も相当な注意が必要になりそうです。
債券市場のエキスパートは逆に債券金利の反騰を予測
興味深いのはここからで、債券市場に精通するエキスパートの一部は債券が買われすぎで底打ちして金利はここから上昇するとの予測を崩していません。
すでにこのコラムでもご紹介していますようにジェフリーガンドラックもそのひとりで、そう時間をかけずに金利は反騰するとみていますので、本当にそうなるのかどうか今月ここからの相場展開が非常に注目されるところです。
市場の大方の予測の意に反して債券金利が底打ちをするようならば株価も含めてかなり相場の動きが変わることになりますので、こちらも兆候が表れるかどうか見逃すことができないポイントになりそうです。
金利の上昇は為替ではドルの上昇につながりやすいものの、株価が大きく崩れればドル円はそちらに追随することも考えられることから判断は難しくなります。
株式市場は日米中ともにPKO部隊が暗躍
為替市場にかなりの影響を与える株式市場は、日米中ともにPKO部隊が暗躍中のようで日本は参議院選挙に向けて是が非でも2万円を割れさせない動きがここからさらに出てくることが予想されますし、米国は年初にトランプ大統領の命で招集されたPPT(株価暴落阻止チーム)が延々と機能しているようです。
さらに中国も全く同様の動きをしているようで香港で大騒ぎになっても本土の株式市場にはほとんど影響なく株価が上昇するといった動きを示現している状況で、どうも株価のほうは市場のセンチメントをそのまま反映した価格にはならないものとみられます。
ただし月末のG20 前後の米中首脳会談とその後の関税率引き上げ問題がいよいよ顕在化してくれば当然PKOを押しつぶす相場の動きがでてもおかしくはなく官製相場だから安心というわけにはいかない状況です。
足元の相場は嵐の前の狭いレンジの継続といった雰囲気ですが、いよいよ20日以降大きな動きがでることを意識しておきたいところで、これが夏相場のきっかけになるのではないかと考えます。
(この記事を書いた人:今市太郎)