ここからは投資家としてのあくまでも推測の領域になりますから話半分でお聞きいただきたいと思いますが、まずFOMCを経てドル円は上昇するのか下落するのかが非常に気になるところです。
市場では既に0.25%の利下げか0.5%の利下げかといった極端な議論が展開されているわけですが、すでに0.25%の利下げは織り込み済みですから、利下げ実施後に相場がどうなるのかを予想することが極めて重要になってくるものと思われます。
現在のところ次のような動きが顕在化するのではないかと思って警戒を強めているところです。
①多くの見方としてあるのがFOMCまでドル円下落で発表後の一時的買戻し
多くの投資家が予想しているのが31日に向けてドル円が下落し、1日の午前3時にFOMCの発表があって買戻しで値が戻るという見方です。
噂で売ってなんとやらの世界はもっとも現実味のある世界で、こちらは十分に可能性があると思われます。但し下落から一旦買い戻しになったとしてもその先がどうなるかはさらに考える必要がでてきそうです。
②利下げ後に米株が大きく売られ、結果的にドル円もそれについていく動き
これもかなり市場では織り込み始めているもので、既にこのコラムでもご紹介させていただいているものですが、とにかく利下げで材料出尽くしから株式相場主体で価格が下落し始めるというものです。
0.25%下落なら期待に対する結果不足になることが考えられますし、0.5%ならそれだけで打ち止めかということでまた売られる可能性があり、結果的に催促相場に陥るという見方です。
この場合米国債券がどのように動くのかによって為替の動きが変わりますが、米株が大きく下落し始めた場合ドル円も下落に追随する可能性はかなり高まることになりそうです。
21世紀に入ってからの過去2回、ITバブル崩壊前とリーマンショック前の2008年の場合は利下げ後すぐではありませんでしたが株が下落し始め、それが止まらない世界に入って結局相場は大暴落することになりました。今回はトランプが是が非でも株価を下げさせないように動いているのでこの2つのケースと全く同じように動くかどうかは誰にもわかりません。
しかし、米株に関する限り企業の自社株買いとごく一部のファンドの強気な買いが続いているだけでETFを含めて買いは全く膨らんでおらず、明らかに足元の株価上昇は様子がおかしい状況になっています。
今回の利下げの可能性で最も高い0.25%の利下げでは引き続き催促から株価が下げる気配が強くなることが予想されますし、万が一0.5%下げるという一発打ち止めのような政策が飛び出した場合には当面金利が下がらないとみた市場が利益確定売りを一斉に出して下げるリスクもありどちらにしても株価が上昇していく材料はほかになにかが出てこないとカンタンにはあり得そうもありません。
ここではナンセンスなので想定はしていませんがまかり間違って利下げ延期ともなれば相場はかなりの値幅をもって暴落する危険性があります。
③トランプの日米通商交渉内容開示とドル高不満発言でドル円大幅下落
8月相場のリスクはFOMC以降も続くことになります。FOMCで一定の結果が出たあと、それを追うようにトランプからの対円におけるドル高発言がさく裂することで相場は大きく下落する可能性があります。
たとえ単独介入という暴挙に出ることがなくて参議院選挙後安倍政権に貸しのあるトランプが何等かの形でドル高円安に強く言及することがあれば立ちどころにドル円は下落することが予想される事態に陥ります。
もちろん相場のことですからこの想定通りに動くなどと思い込むのはかなり危険ですが、事前シナリオに対してどのような乖離や差分がでてくるのかを常にチェックして次の動きを想定していくことが重要になりそうです。
市場にはアルゴリズムが大量に動いていますからすぐにレスポンスのある形が示現することもあればおそまきならがそうした動きが顕在化することもありますので十分注意して取り組む必要がありそうです。果たしてどういう展開になるのか楽しみな一週間です。
(この記事を書いた人:今市太郎)