お盆休み真っただ中に突入した今週の相場ですが、13日のNYタイム株式市場のスタート時期に合わせて米国USTR通商代表部が9月1日から完全実施予定だった関税引き上げの対象の一部を12月まで延期すると発表したことから相場は株を中心に吹き上がり、当然ドル円もそれについて行く動きを見せ、なんと105.300円レベルから1.6円も上昇するという猛烈な展開を見せることになりました。
多くの市場参加者が下方向への動きを想定し105円割れを試すのではないかと考えていただけに、この報道はえらく為替市場にはインパクトの大きなものになってしまいました。
結果的にショートのストップロスは107円寸前まですべて切られることとなってしまい、翌日の東京タイムはそれ以上買いあがる材料もなかったことから逆に下落方向に動くというかなり市場参加者の痛みを伴う相場となってしまいました。
とにかくお盆休みは円高に振れやすいのがアノマリー化してきましたから、米国政府発の情報で相場が上に噴き上げるというのは非常にレアな状況で、結構この相場に巻き込まれたトレーダーの方も多かったのではないでしょうか。
ここからどこまで下押しを再開できるかがポイント
さて、こうした相場になると一体この先どうなってしまうのかが非常に迷うところですが、関税延期となっても特別米中関係が改善したわけではありませんし、中国人民元は依然として控えめながら対ドルで7元を超えるレベルを維持しており、何一つとして状況は改善していないのが実情です。
果たしてドル円は再度105円を割り込むような動きを再開するのかどうかが大きな注目点となりそうです。9月のFOMCでの利下げに対する市場期待もこれまでと変わらずに大きなものになっていますので、米債金利は下落傾向にあり、直近では2年債と10年債の金利がとうとうフラットな状態になりつつあります。
今週中の動きになるかどうかはまだはっきりしませんが、再度下押しをトライする可能性はまだまだ残されているように思われます。とくに105円ちょうどにあると言われているバリアオプションが15日のNYカットで消滅することからこれを狙って下押しする危険性はまだまだありそうで注意が必要になりそうです。
断定で売買すべきでないことを痛感させられる相場
今回の米国USTR起因による大幅踏み上げ相場はまさに断定だけで取引することの危うさを強く感じさせられるものとなったことは言うまでもありません。
とくに長時間相場を見ていますとロンドン勢が何度かトライしてなんとか105円を割るようにみえたのは間違いないところで、突っ込み売りをして完全に引っかかってしまった個人投資家が非常に多かったのではないかと危惧する次第です。
やはり想定外の事態になったときにはしっかり浅いストップロスを置くことで被害甚大にならずに済む対策をとることが重要であることをあらためて感じさせられました。お盆の相場はまだ15日、16日と続くことになりますので、ここからの取引も十分に注意して臨んでいきたい状況です。
この上昇で相場が上方向にトレンドを変えたかと言えばまったくそのようなことにはなっておらず、相変わらず下を意識している点には相当な注意が必要です。迂闊に買い向かって今度は下げで大きくやられたりすることのないように厳重な注意をしながらトレードをしていくことをお勧めしたいと思います。
またどうしていいかわからないと思ったときこそ一旦休みをとってじっくり眺めてみるといったやり方を実施するのもお勧めです。
(この記事を書いた人:今市太郎)