お盆明けの金融市場は今一つ元気がなく依然としてまだ夏休みをとっている投資家が多そうな雰囲気が続いています。
米株のほうは逆イールドが示現してから大きく売られたもののその後は連日価格を戻す動きになってきておりこのまま9月の再上昇相場へと戻りそうな気配も見られます。
しかし市場をとりまく悪材料はかなり豊富で、どれが相場下落のドライバーとしてヒットしてしまうのかはまだまったくよくわからない状況にある点にはかなり注意が必要になってきています。
中国人民元はさらに元安に向かう可能性
中国経済が米国の関税攻撃でどのぐらい傷んでいるのかという点はもう一つよくわからないところがありますが、民間の金融機関の分析では想像以上にネガティブなインパクトがあるのはほぼ間違いなさそうで、中国人民銀行がよほど力を入れて買い支え支えない限り、ごく近い将来対ドルで7.3を超える可能性が指摘されはじめています。
こうなると人民元安自身の問題もさることながらアジアの周辺国に金融危機を引き起こしかねない材料が揃うわけで、いきなり2015年8月に起きたような人民元ショックが再来することは決して否定できなところにあります。
GEの不正会計決算が他社に飛び火する可能性
GEの不正会計問題はすでにこのコラムでもご紹介していますが、この決算の不正問題がより明確になってくると上場している他社にも相当飛び火することが考えられ、すぐに火を噴くネタではなさそうですが、企業会計をめぐるシステミックリスクとして注意しておく必要がありそうです。
GEをめぐってはこれまでも何人もの投資家がおかしいと指摘をしてきているだけに、突然出現した問題ではないところがその怖さを示しているといえます。
これが問題になれば社債市場に広がるため相当まずいトリガーになることは覚悟しておく必要があります。
8月大きく下落したドイツ銀行株
最近ではまたほとんど話題になっていないドイツ銀行ですが、このお盆の間に米国、ドイツ本国ともに株が大きく売られることとなっています。
特別材料はないのにいきなり大量に売り込まれたということは主要な投資家が株を手放した可能性が高く、内側で何か動いていることを想定しておいたほうがよさそうな状況となっています。
こちらもほとんど報道されないだけに気味の悪さは抜群ですが、市場ではかなり気にされている案件であり、引き続き注意すべきものとなってきています。
俄然リスクの高まるBREXIT
8月後半に向けて英国のボリスジョン首相が積極的に動き始めていますが、どうも合意なき離脱は一段と近づいているようでこれが現実のものとなってきることが明確になるにつれてポンドは大きく売り込まれていくことが予想される状況になってきています。
すでに政権が想定したハードBREXIT時のレポートが暴露されはじめておりかなりの混乱が予想されることとなっていますが、為替の場合こうした状況が現実になる前に相場が動くことが容易に想定されるだけにこの10月にかけての為替ではかなり大きなリスクになることが予想されます。
1998年の相場と同じような動きならここからもう一段下落か
今年のS&P500の動きが1998年のそれにかなり似ている話はこのコラムでもご紹介しましたが、お盆明け以降の相場状況も実はかなり酷似しており、98年の再来が本当ならば8月末に向けてもう一度激しく売り込まれる事態に陥ることを想定しておいたほうがよさそうな状況になってきています。
果たして何がその材料になっていくのかはまったくわかりませんが、ここでご紹介した材料がヒットするのか、あるいはまったく別の材料が示現するのかは別にしても相当注意が必要です。
相場自体は緊張感が全く感じられませんがどうもリスクはかなり高まっているように思われます。もちろん何もないに越したことはありませんが、十分にお気をつけいただきたいと思います。