22日NYタイムへの入り鼻に猛烈な上昇をはじめたのがポンドでした。対円で見ても21時台の後半から一気に上昇がはじまり簡単に1.2円近く上昇して見せたことからドル円なども一緒に引っ張り上げられるような動きを示現することになり、市場参加者慌てさせる動きとなったのは言うまでもありません。
ポンド円15分足
中身としては、ボリスジョンソンがメルケル、マクロンと次々会談を行いその後の記者会見の席上、英国からバックストップに関して新たな解決策を提示されれば問題は解決するであろうといった楽観的とも単なる外交辞令ともとれるような発言をメルケル、マクロンが次々したことが大きな理由で噴き上げたものでアルゴリズム主体の相場ならではのようなヘッドラインだけで動く相場状況となってしまったわけです。
しかしメイ首相の就任から3年経過してもこの件についてはなんら要件定義がされているわけでもなければ解決策が複数用意されていてそれを精査するというようなプロセスに入れるわけでもありませんので、ここからたった2か月余りの猶予期間で新しい解決策が飛び出して画期的なBREXITが実現するとは到底思えない状況です。
ただ、報道のヘッドラインにこうした内容が飛び出せばショートになりっぱなしのポンドに大きなショートカバーがでるのは当たり前の状況で、恐らくここからは連日のように報道に相場が振らされるというかなりクリティカルな状況が延々と展開されることになりそうです。
はったりのボリスジョンソンはEUには受け入れられていない
もともとBREXIT強硬派の旗頭であるボリスジョンソンは、メイ政権で散々EUと協議してきた内容をもう一度ぶり返すことでEUから少しでも有利な条件を引き出そうとしているようにみえますが、英国側な解決策として新しいものを提示できるわけではない点が非常に気になるところで、このままでは結果的に猛烈に厳しい着の身着のままのBREXITが実現してしまいそうな状況です。
為替相場も明らかにそれを織り込みに行っていますから、ショートが溜まって猛烈なショートカバーがでたとしてもまたショートを作る向きが続々と現れるという繰り返しが続きそうで、とにかくショートをするなら浅めのストップロスを常において巻き上げられたときに大きく損失を招かないといったしっかりとした対策をとることが極めて重要になりそうです。
ただ、ボリスジョンソンのこうしたやり方は英国内ではそれなりの評価を得ているようで弱腰協調路線よりもとにかく英国ファーストと一定の国民が評価し支持するというエゴの時代が完全に到来していることを改めて実感させられます。
結果が出る前に動く相場のおかげでポンドは大儲けと大損の狭間に
こうしたポンドの動きはとにかくボラティリティがあるわけですからうまく取れるならドル円などよりもはるかに儲かる可能性が高いわけですが、問題はいつ材料となる報道が飛び出してくるかまったくわからないところで、注意しようにもどうにもならない不可抗力的な部分が大きくなる点がなんとも気になるところです。
ひとつの対抗手段としては大きく戻したところでショートを入れ、トレーリングストップを利用して戻したら一旦切ってなんとか利益を確保するといった動きを延々と繰り返す以外には確実な手はないのではないかと思う次第で、やり方を間違うと同じ相場でも損ばかり積み上げてしまいかねないかなり難しい時間帯にさしかかってきていること痛感させられます。
もともとポンドはよく動く通貨ですから慣れ親しんでいるトレーダーにはあまり違和感はないと思われますが、ドル円ばかりやっている人間にとっては一瞬で大きく損を出すということがないだけに非常に難しく感じるのも確かで、取引する人を選ぶのかも知れません。ポンドは残り2か月まだまだ大きく動きそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)