9月相場もいよいよ2週目に突入することになるわけですが、どうも方向感というものがはっきりせず、見た目以上に難しい時間帯に入ってきていることと強く感じます。
市場ではリスクオンがやたらと口にされますが、個人的な印象でいいますと先週一週間で劇的に変化した周辺状況というものはほとんどないのが実情で、一時的なイメージがリスクオンのような雰囲気を醸し出しているだけではないかという強い疑念をもっているのが正直なところです。
厳密にいえばリスクオンなのではなくリスクオフの一時的な巻き戻しが起きているだけでポジション調整に終始しているのではないかとも思える状況です。
ここのイメージを間違えてしまいますと大きな損失を食らう可能性が高くなりますので、相当注意する必要があると感じています。
リスクオンのネタはほとんど信用ならない状況
先週リスクオンを加速させるネタとしては米中が10月に協議を再開する予定というネタが走りました。
10月初頭は国慶節ですから10月初旬といっても1日ではないでしょうが、事実上9月開催予定の会議が延期になっているだけですし、10月1日にはトランプが事前予告通りさらに関税率を引き上げることを決定しており、これも特段撤回されているわけではありませんから米中協議10月開催だけでそれほど喜ぶほどの内容ではない点がまずかなり気になります。
また香港も一体一路の会議開催ということでとにかく空港の占拠を開放したいという中国サイドの強い意向もあるようで逃亡条例は香港政庁が撤回としていますが、デモの主導的立場にある人物たちはあらかじめ掲げた5項目全部に対応すべきであると反発していますからこの段階ですべて一見落着とはなっていない点も気になるところです。
英国のBREXITについても10月31日の離脱さえ先送りとなりそうな状況でボリスジョンソンも首相継続がどうなるのか危ぶまれるところになっていますが、正直なところこちらもこの先の見通しはさっぱりわからず、一気にポンドの買戻しが進んでいますが、決して状況は改善していないところが危惧されます。
ここでご紹介しているリスクオン材料はほんの一部ですが、すでにこのコラムでもご紹介しているようにアルゴリズムが事ある事に無理やり買い上げるような動きを見せており、これはわざとやっているのではとさえ思わせる雰囲気になってきています。
ひとつは依然として市場参加者が少ないことがこうした印象を醸成している可能性はありますが、今の状況が絶対的なリスクオンなのかと言われれば先々週とほとんど変わっておらず、いきなり引き戻される可能性を考えておく必要もありそうです。
一方向に動かずに行ってこいも考えるべき状況に
ともあれ相場の動きは絶対であり、いくら不平不満を口にしても何も儲かりませんから上がるときにはついて行き下がるときもそれなりに対応する必要があるのは言うまでもありません。
ただ、足元のリスクオンの動きはいきなり反転して元に戻るリスクがあることも相当意識しておく必要がありそうです。9月は例年株も為替ももみ合いになることが多く決定的な方向感がこの時期にでることはあまりないと言われています。
したがってここから動き出した方向をトレンドであると勘違いすると痛い目に合うことも考えておくことが重要です。
週明けからいよいよECB理事会、翌週はFOMC,BOJと中央銀行の政策決定会合が軒並み開催られますのでそもそも相場はこれを見るまでは大きく動かないものと思われますが、足元のなんとも妙な雰囲気には引き続き相当警戒しながらトレードしていくことが必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)