ドル円は米10年債が大きく売り戻されていることからえらく堅調に上昇しており、108円までほんの目と鼻の先といって状況になってきています。
なぜいま足元の状況がリスクオンと呼ばれるのかは今一つよくわかりませんが、そんなに堅調に買い戻される材料があるのかどうかいまひとつ釈然としないのが現状です。
この9月の円のシーズナルサイクルを見てみますとドル円の動きについてもなかなか面白いことがわかりますので、今回はそれをテーマにあげてみることにします。
一方向には動かないのが9月のドル円
下のチャートは円のシーズナルサイクルを過去20年間の実績から分析したEquity Clock.comのデータですが、過去20年というとちょうど1999年から20年ということもありITバブルの崩壊もリーマンショックも含めた動きということになります。
ご覧いたたくとわかるのは、円とくにドル円は年の前半は比較的ドル高円安が進むわけですが夏場あたりから円高が進行し、9月は若干戻す動きもするものの月次で考えると一方向に動くことはなく、逆に10月にはいると円高に振れてその後年末にむけては円安に戻るという傾向があることがわかります。
これが40年といったようにもっと長いスパンでデータをとると異なる動きになることもあるようですが、21世紀に入ってからの平均値はこんな動きであるということは理解いただけると思います。
2019年はこれと同じように動くのかに注目
さて、問題は2019年がこれと同じような9月の動きになるのかどうかということになります。
今のドル高円安はこのシーズナルサイクルに似た動きをするならどこかで一旦途切れて下押しをするタイミングがやってくることも考えられますし、今年に関しては全く異なる動きになる可能性ももちろん考えられる状況です。
ただ、ドル円は比較的実需も多い通貨になりますのでこのシーズナルサイクルというのは実需筋の需給の状況を示している可能性もかなり高くほぼおなじような動きをトレースすることが多いのが9月の特徴のようです。
相場に絶対というものはありませんからこのままの動きになるかどうかは終わってみないとわかりませんが、基本的な動きとしてはしっかり認識しておくとよさそうです。
9月のFOMC後にどうなるかが大きなポイント
前回7月31日、日本時間では8月1日午前3時FOMC以降のドル円を思いかえしてみますと一旦大きく上昇したものの、その後反転して下げる動きを見せたことは記憶に新しいところです。
今回翌日に日銀の政策決定会合もありますので、なにか緩和措置がでるとドル円は一時的に吹き上がる可能性もあり、なかなか微妙ですが、こうした中央銀行の政策決定会合が9月に集中しているということもシーズナルサイクルには織り込まれていますから相場が上下にぶれる材料になっている可能性を考える必要もありそうです。
いずれにしても基本的なシーズナルサイクルをわかっていて相場に向き合うのと勝手な期待だけで売り買いに集中するのとでは大きな違いになりますので、基本的な季節の円の動きというものをしっかり認識しておくことが重要になりそうです。
この円のシーズナルサイクルはドル円中心にお話しましたがもちろんクロス円にも適用になりますから、クロス円で思いのほか円高が進むような場合にはドル円も円高に動くといったことは想定しておくべきでしょう。
今年のドル円は年初と8月スタート時が例年と異なる動きになった印象がありますが、大きな流れはこのチャートに近い部分もありますので、いよいよ9月後半の材料の多い時間帯における動きに注目していくことが重要です。
(この記事を書いた人:今市太郎)