早いものでリーマンショックと呼ばれる2008年9月から始まった大暴落からすでに11年が15日で経過することとなります。
リーマンショックというのは国内ではほぼ共通語のように使われていますが米国人にその話をしても彼らは暴落は認識しているもののかならずしもリーマンショックとは呼ばないことからあまりピンとこないことが多いようです。
実際前年のサブプライムローンの問題が発覚してから1年半以上も低迷した相場があってその後ドスンと大きな下げになったわけですから、リーマンブラザーズの破綻は単なるきっかけにすぎないといえばそのとおりで、海外ではこうした呼び名がついていない点はなかなか不思議な状況といえます。
ほぼ7~8年に一度は大暴落がある米株市場
米国の株式市場は長くて10年、短ければ暴落から7年程度で次の暴落がやってくるとう非常に付き合いきれないサイクルを継続させています。
しかし今回はすでに丸11年経過しても大きな下げが起きないように中央銀行が異常に相場の動きに敏感になっていることが寄与しているのか今年も今のところは大暴落が起きそうな兆候は見られません。
しかし人工的に作り出しているこうした相場状況にもかなり限界が近づいていることは事実のようで、ここから先どこで相場が反転下落するのかが益々気になる時間帯に入ってきていることがわかります。
景気拡大も120か月を超えているわけですから、相場の循環という視点でいいますとあまりにも下落しないように支え過ぎている感は否めず、FRBがここから延々と利下げして株価を下げさせない努力を続けることがどこで限界点を迎えるのかが非常に気になる状況となってきています。
すでに2008年の暴落を知らない世代がウォール街の中心に
2008年といいますと個人的にはちょっと前のことという印象があるのですが、世界の世代交代はもっと早いようでウォール街で中心的な役割を果たしているミレニアル世代はこの暴落のことを全く知らないようです。
しかも人の入れ替わりが激しい業界ですから教訓になるようなことも何も受け継がれていないようで、とにかくマネージャークラスは強引に株を買い漁っては爆益を出すことを今も延々と続けているようです。
ある意味ではこうした暴落を知らない世代こそがどんなに高値でも株を買い上げて上に持ち上げていこうとする原動力になっているようで、そろそろ下落なのではないかと不安になる昔からの市場参加者を押しのけてしまっているように見えます。
相場の下落は必ずやってくる
ただし、金融市場というのは循環があってはじめて成立するものですから上げた相場はどこかで大きく下げ、その下げ幅が大きいからこそまたもとに戻ろうとする力も大きくなるのが基本で、今のように中央銀行が介在しすぎて人工的な値付けを延々と行う相場が健全であるとはとても思えない状況があります。
どんなにFRBやECB、日銀が相場を支えようとしても、やはり大きな変化が現れるのが市場ですから中銀で支えられなくなった相場状況が示現することが非常に恐ろしくなりそうで、それが来年なのかあるいはもっと近くに起きるのかは誰にもわからないだけにどうしても慎重にならざるを得ないところに入ってきてます。
ファーストイン、ファーストアウトで相場を最後まで付き合わない向きは既に市場からかなりの資金を引き出して次の暴落に備えているようですが、果たして個人投資家はこうした時期にどのような投資を行うのかかなり悩むところでもあります。
毎日相場を見ていても暴落の瞬間をあてることは事実上不可能ですから怖がっていても仕方ないのですが、それでもここからはより一層注意深いトレードを心掛けることが重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)