19日、主要な中銀の政策発表を終えた相場はさすがに材料出尽くしとなったようでドル円は東京タイムの最初だけ前日のFOMC後の流れをうけて108.500円を試す動きになりましたが、どうやら108.500円から上は国内の輸出自動車企業が大きな売り玉を持ち込んだようです。
ロング勢は結局108.500円以上をつけられずに上値追いに失敗、投げ売りもかなり出たようで107.800円を割り込むレベルまで下押しを余儀なくされています。
ただ、NYタイムは何度か下押しされたものの何とか108円台まで回復しており、ここから上値を再度どこまで試せるかが大きなポイントになりそうな状況です。
※ドル円15分足 FOMC以降の動き
米ドルのレポ金利が突然上昇
FOMCの結果発表に関心が集まっている17日からそれと並行するかのように米ドルのレポ金利が大幅に上昇することとなり17日は一時的にその金利が10%を超えるという異常事態に見舞われています。
これは実に10年ぶりの事態で、ニューヨーク連銀が連日資金供給に努めてなんとか金利が下落するように努めている状況です。
このレポ金利に関しては上昇要因はかなりいろいろなものが考えられるようで、金利が上昇したからといって急になにか不測の事態が起きるというわけではなさそうですが、もっとも記憶に新しいのは2008年3月、リーマンショックの前哨戦のようにベアスターンズが破綻した際にもこのレポ金利が大きく上昇した経緯があり、上昇上院が一体何なのかが注目されるところとなっています。
金利上昇原因はいろいろだがリスクがないのかが気になる
この時期は法人の四半期における法人税の支払いからドル需要が高まることに加え、9月はかなりのボリュームの米国企業の債券の発行が行われていることから海外の投資家のドルによる需要が高まっているということも背景のひとつにあるようです。
さらに2年債と10年債のスプレッドが今後拡大するであろうことを見越して2年債を買って10年債を売るという投機筋の動きが活発化していることもこうしたレポ金利の上昇に寄与しているのではないかという見方も広がっています。
いずれにしてもこうした短期のレポ金利が急上昇するというのはドル需要が想像以上に旺盛であることが大きな原因となるわけですが、それにくわえてFRBがうまく短期市場の金利をコントロールできていない証拠であるという見方も強くなるわけで、利下げのみならず今後量的緩和をさらに進めざるを得なくなるのではないかという観測も高まりつつあるようです。
奇しくもFRBパウエル議長は今すぐではないとしながらもQE4の実施の可能性を示唆しはじめていますので利下げとともに再度QEが実施される時期が近くなってきているように思われます。
市場では相場に異変が起きる前に必ずなにかその兆候を示すものが発生するものですが、今回の米ドルのレポ金利はすぐにリスクが高まるような状況ではないものの、想定外の事態となっていることは間違いありませんから、これがなにかの引き金にならないかどうかは注意深く見守る必要がありそうです。
市場ではほぼ材料出尽くしでどのように相場が動いていくことになるのか今一つよくわからなくなっていますが、大方の市場参加者も同じようなことを感じているようで、様子をうかがうレンジの動きが当分つづきそうな気配でもあります。
ただ、投機筋はどこかで今年の利益を大きく稼がなくてはなりませんから、なにか仕掛けをしてくる可能性は十分にありそうで、一山超えた感は強くなっていますが、ここからも気を緩めずに相場に向き合う必要がありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)