9月相場では米株の動きとはまったく別にじり高上昇を果たしている日経平均ですが、もともと9月は相場が上昇しやすい時期であるとはいいながら日本株だけがじり高を維持してトレンドを発生させているというのには若干違和感を覚えるところです。
日本株が堅調であることからドル円も大きく売られるような展開にはなっていませんが、この背景にはじつはヘッジファンド勢の決算が絡んでいるのではないかという説が出回り始めており、10月に入ると状況が一変するかも知れない点にはかなり注意が必要になっているようです。
今年は昨年に比べるとファンドの利益も極端に悪くはなっていないようですが、投資利回りは決して良くないことから顧客からの解約が増加しているのは事実のようです。
今年も儲かっていないヘッジファンド勢
ここのところ例年ヘッジファンドの業績不振が伝えられ、安定的に儲かっているところもある反面で、それなりの数のファンドが閉鎖になるなどの動きがでているようです。
11月決算が多いと言われてきたヘッジファンドも日本のように各社期間が揃っているわけではなく9月末決算から12月末決算までかなりばらついているのが最近の実情のようです。
顧客からの解約が増えれば投資しているものを取り崩さなく手はならないのがこの業界の常ですから相場に変化がでても決しておかしなことではないといえます。
このヘッジファンの多くはS&P500で買いを入れるとヘッジのために日経平均の「売り」を逆に仕込んでいるとよく言われます。
利益の出ている米株を顧客からの解約で売却することになれば当然ヘッジの日本株の売りもいらなくなることから資金回収のために買い戻しをかけることになり、どうもこうした動きが日経平均を妙な形で、その価格上昇に寄与しているのではないかという見方が強くなっているのです。
10月以降新たな売り戦略が登場する可能性も
ここのところ株価が連騰で上昇していることから、国内の証券業界はまた強気の発言をしており、年末までには日経平均2万4000円突破といった楽観的な見通しが揃い始めています。
しかし、10月からの消費増税実施も含めて先行きがそんなに明るいとは思えない状況で、むしろ10月に入ってからは逆に下押しする時間帯に逆戻りする危険性のほうを考えておく必要がありそうです。
国内の証券業界はとにかく赤字や減収減益続きでなんとか顧客に商品なり株なりを買ってもらわなくては生きていかれない状況です。
どんなに相場の地合いが悪くてもまったく悪いことは言わないという万年躁状態のような発言してかしない人たちで構成されているので仕方ありませんが、8月の下落相場で消費増税をすっかり織り込んだとみるのはかなり節操な判断でありそうは問屋が卸さない可能性がでてきているわけです。
ドル円は株下落なら連動の可能性
ドル円は先週末107.500円近くまで下落して終わったことから週明けは下攻めがありましたが、107円の初頭にはそれなりの買いも集まっているようで簡単には107円抜けする状況ではなくなっています。
今週は107円台をキープしたままの形で10月相場になだれ込むのかもしれませんが、週明けからは相場の雰囲気ががらりと変わることもありそうで相当注意が必要になりそうです。
来週になると中国は国慶節で休日になりますのでトランプと中国の戦いもつかの間休戦ということになり、材料はあまり出てこなくなりそうです。
また日米の通商条約もなんらかの暫定合意がでていそうで、こちらも足元ではすぐに円高の材料にされることはなさそうですが、こうした何もテーマがない時間帯こそ結構危ないものがあり、油断は大敵ということになります。
(この記事を書いた人:今市太郎)