いよいよ今年も押し詰まってきた感があり、為替市場は既にピークアウトしてしまったような気配も漂いますが、市場では感謝祭ラリーというものも意識されるようになっています。
これは感謝祭のほぼ5営業日(実は22日の金曜日がそれに該当しますが)に買って年末に売るというのがこのラリーの考え方です。クリスマス以降はクリスマスラリーと呼ばれるものもあることから、厳密にはクリスマス休暇前にはポジションをリカクすることが適切な選択のようです。
まあ日にちだけで価格を一切見ないで買いを入れて本当に儲かるのかという大きな問題は残るわけですが、過去10年の勝敗でいいますとドル円は六勝四敗、豪ドル円が七勝三敗、NZドル円が八勝二敗、日経225も八勝二敗、NYダウが七勝三敗ですから、単純な確率だけから言えば勝てる可能性は普通よりも高いことがわかります。
ただ、今年の場合には米株がすでに上がり過ぎていますから、上昇ののりしろがどれだけ残されているかがまず株価では問題になりそうで、単純に買いを入れておけばそれで年末に儲かりますというほど簡単な話ではないように見えます。
相場が動かないだけにこうした例年のアノマリーこそ何とか取引に活かしたいと思うのは人の世の常ですが、あまりにも人工的に管理されすぎている相場環境の中で過去の実績が本当にワークするのかがかなり怪しくなってきていることは事実ですが、アノマリーには実需の確実な実績も含まれるだけに一応は意識しておきたいところがあります。
ドル円のハロウィン買いの進行状況について
さて、こうしたアノマリー買いで有名なのはこのコラムでもご紹介しているハロウィンエフェクト、つまりハロウィン買いということになるわけですが、今年の進捗状況をご紹介しておくことにしたいと思います。
上の表は10月31日から22日の東京タイムまでのデータとなりますが、31日もしくは11月1日に108円あたりでロングをすることができたとすれば、足元ではなんとか60銭程度の利益を確保できている状況にあります。
ただ、もっともベストプラクティスだったのはほぼ一週間後の11月8日に109.480円をつけた時に売り抜けてしまうことで、後から見ているはなしですから、実に簡単にできたようにも見えます。
しかし、結局のところこうしたアノマリーは意識せずに安値で買って高値で売る、もしくはその反対を粛々とやっているほうが妙な固定観念で取引するよりもよほど儲かることがわかります。
またスキャルピング主体で取引される方にとってはこうしたトレードは何の意味もないことがわかりますし、デイトレでもその効果は微妙です。
結局アノマリーを意識しないほうがいい可能性も
中央銀行が主体的になって株も為替も相場を下げさせない強度な管理相場状態が延々と続いたことにより、とうとうドル円は年間の値幅が10円に届かず8円余りで今年の相場を終えてしまいそうですが、こうした状況下で利益をコンスタントに得ようとするならば、やはり取引のやり方というものを相当よく考えてこれまでの延長線上だけでトレードしない工夫が必要になってきていることを感じます。
為替のシーズナルサイクルというのは多分に実需の動きが絡むものですから、決して無視することができないのですが、足元のドル円に関しては金融機関や生保などの機関投資家が国内での資金運用の困難さから、外債運用のために須らく円を売ってドルを買う動きにでていることから、ドル円は円売りが常態的に発生する様になっており、このシーズナルサイクルも必ずしもワークしなくなってきています。
むしろ単年ごとの動きというものをより注視しながらそれと足元との違いという部分を精査することのほうが大事に見えてきている状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)