例年どおり、12月の相場は月の後半になるとクリスマス休暇モードが強まり市場参加者が激減することからほとんど動かないことになり、今年もまさにその状態が示現しはじめています。
今年は大統領選の前年のアノマリーが見事的中したようで米株は非常に上昇しましたが、大統領選挙年となりますと状況は多少異なるようで、過去の選挙年と通常のシーズナルサイクルを比較してみますと、実は株式相場はそれほど上昇していないことがわかります。
Data EquityClock.com
上のチャートのオレンジ色が例年の平均、そして選挙年だけ取り出した平均がブルーですが、たしかに4年ごとの平均ですと景気の上げ下げの影響をより受けているはずですから上昇率がかなり抑えられることが理解できます。
それでも8月と年末はある程度の上昇が見込まれるようで、これだけは覚えておくことが重要になりそうです。
直近の相場ではとにかく米株が崩れなければドルが大きく売られることもなく、ドル円に関してはかなりの相関性を維持していますから、為替をやるトレーダーも常に米株の動きは米債金利以上に気にしておく必要があります。
モルガンスタンレーはFRBのQE4実施次第と分析
モルガンスタンレーは来年の米株相場の予想レポートで、上昇はまさにFRBのQE4実施次第と分析しています。現状では短期のTビルの月額600億ドルの購入は来年6月までは継続することが決まっていますが、これをさらに拡大させること、あるいは延長させることが決定すれば株式相場は今のバブル状態を維持することができると見ているようです。
Source Bloomberg
今年10月から短期債の買入をFRBが行ったことで明らかに株式相場はその影響を受けて大きく上昇していますから、多くの市場参加者が来年もこのスキームが発揮されることと期待しているというわけです。
日本の株式市場はそれにはついて行かない可能性大
日経平均が2万4000円を上抜けたことから、ここへ来てまたしても国内の株式市場に関与するSell Sideのアナリストやコメンテーターから2020年の日本株相場がきわめて楽観的であるといったお決まりの予想が出始めています。
もともと崖から墜落する瞬間でさえ楽観的なことを口走るのがこちらの業界の掟らしいのでいつでも楽観的な見方が飛び交うのは仕方ありませんが、こと国内の株式市場に関しては海外勢が割安で期待しているなどという話はほとんど聞いたことがありません。
たしかSQを絡めて一時的にカネを稼ぐ道具として一部のファンド勢が仕掛けを行うことはあっても常態的に日本株に投資する向きが増えている状況にないのが現状で、欧州の一部の年金等のファンドが資金を投入してきている以外には目立った動きがないのが実情です。
来年は東京五輪開催だから好景気という話もありますが、すでに大きな投資は終わっています。むしろ10月から消費増税のネガティブな影響が明確に株式市場に出始めることになるでしょうし、実はもう逆戻りしているデフレの影響も顕著になることとが逆に予想されるところです。こうなると米株が上がっても日本株にはなんらプラスの影響は出ないことも想定される状況です。
アベノミクス第三弾に期待などという寝言のようなことを言い出す向きも出現しはじめていますが、ここまでで何の成果もなかったわけですから期待を高めることには無理があります。
また中国との貿易交渉のフェーズ1をこなした米国がドル安をかなり強力に推進する可能性も高そうで、実質実効レートで非常に対ドルで円安が進んでいる状況にトランプから具体的な指摘がでることも気をつける必要があります。
こうなると2020年もやはり相場を楽観視するのは禁物で、引き続き注意深い取引を行うことが必須の年になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)