様々な金融情報をすっぱ抜くZeroHedgeが極めて気になる内容を掲載して話題になっています。それはHSBCの分析によるもののようですが、日経平均は日銀のETF買いがなければ1万6000円水準であるという話です。
このデータはあくまで推測にすぎませんが、それによれば日銀がETFを買わなければ今頃日経平均は1万6000円台ということで足元のレベルから見るとすでに8000円も下駄を履いていることになります。
たしかに現状でも日銀からの買いが入らないマザーズとのパフォーマンスの差が30%あることを思えば、もはや外人もまともに買いにこない日経平均の上げがほとんど日銀によって買い支えられているに過ぎないと言われても誰も反論できない状況です。
98年の消費税増税後の相場の下落幅を考えると1万5000円に下落しても不思議ではないとこのコラムに書きましたが、ここで指摘されている数字を見ますと、デフレ再突入にさらにリセッションが絡めばこの水準にまで日本株が逆戻りする可能性は極めて高いといえます。
米株はこのまま上昇をキープできても日本株だけ自律的に下落か
米国ではFRBが年末の越年の短期資金としてなんと日本円で53兆円もの資金を投入することを正式に公表しています。
9月の短期レポ金利の上昇と資金需給のひっ迫をうけて10月からFRBは月額600億ドル、日本円にして6.6兆円ほどのTビルの買い付けを行って市場に資金供給をしているのはご案内の通りです。
年末から年始だけで53兆円という日本の年間国家予算の半分を供給するというのはさすがに桁外れの金額であり、たしかに年末需給がひっ迫することを避けるという意味ではFRBが資金提供をする必要があるのかも知れません。
しかし、ここまでやらないと短期のレポ市場が安定的に推移しないのかということを考えますと、一体市場にばら撒きまくっているドル資金はどこへ消えていってしまっているのか非常に不思議な気分にさせられます。
FRBが資金を提供しなければドルの調達ができないヘッジファンドなどが手持ちの国債を売却して国債価格が下落し金利が上昇するといった事態に追い込まれたのはたしかに2008年にもあったことですから、なんとかそれを阻止したいと思うのもよくわかりますが、金融大恐慌の直後ならまだしも足元の市場状況でそこまでしなくてはならないというのは非常に納得し辛い譲許言うといえます。
ややもすればこの金融システムになにか問題が生じているのではないかと疑う向きが登場するのも不思議ではなく、リアルな現場で一体何が起きているのかが非常に気になるところです。
有り体に言えばもはやFRBの金融緩和は一度やり始めたらやめられない麻薬中毒の域に達しており、そのうちその緩和すらば市場に効果がでなくなり効かない状況が示現するリスクを考えておく必要がありそうです。
来年の相場も比較的順調に推移するのではないかといった楽観的な見方が市場を支配していますが、本当に何事も起こらずに相場が順調に上昇するなら相場は苦労しません。
そうはならないから大変なのであって、予想外の事態が生じて成長のシナリオが崩れることについても十分に想定しておく必要がありそうです。
足もとの相場は超楽観の極み
ちなみにここでもご紹介しているCNNの恐怖と欲望指数はまたしても87を示しており、市場は超楽観状態に陥っています。
Data CNN
このまま年末、年明けも楽観相場が延々と続くのであれば取り越し苦労ですが、この数字が100に近づくと必ず反転するような動きが相場に示現してきたという過去の事実もしっかり認識しておく必要がありそうです。
今年の師走は関東地方でも妙に暖かく小春日和をこえた暖かな日が続きますが、天気も相場もそうした状況が長く続かないことのほうを心配すべき時間帯になってきているようです。、
(この記事を書いた人:今市太郎)