イランと米国の緊張関係が一旦は解消したことから米株はもはや上昇が止まらない状態で連日史上最高値更新が続いています。昨年の年初からの上昇率は軒並み20%を超えており、NYダウが20.2%、NASDAQが37%、S&P500でも27%と猛烈な上昇になっていることがわかります。
特に下のチャートを見ていただくとお分かりの通り昨年10月にFRBが短期レポ金利の上昇制圧を名目的な理由として資産買入を行いNY連銀が過剰とも思える資金供給を行ったことが確実に株式市場に資金を呼び込む形となっており、この資産買入が続く限り米株はもはや下落しないのではないかといった錯覚に陥りかねない上昇状態となってしまっています。
しかし過去の相場もそうでしたが市場参加者に加え、新たに市場に参入してくるような新規の個人投資家が超楽観的に相場の上を目指すようになった時には必ず相場が反転して下落を始めることが過去の事例でもかなりの数確認されています。
問題はそうした相場の反転いきなり下落がどこで始まるのかですが、こればかりは毎回このコラムでもお伝えしているように非常に判断がむずかしく、闇雲に売り持ちしていると完全に踏みあげられる相場になりかねません。
これでは為替も簡単にはドルストレートが下落するわけもなく、案の定ドル円は110円の大台を突破する動きとなっています。
BOFAの指数インジケーターでみると下落までもう一息の感じ
バンクオブアメリカの分析部門が発表しているインジケーターによりますと足もとの状況は0から10までのボリュームの中の6.5を示しており、すでにブルの中でも過熱感がではじめている状況にあることがわかります。
ただ大きく暴落するにはまだ時間がかかりそうで、2018年1月末相場が絶好調からいきなりVIX指数が跳ね上がり売りの取引をしていたファンド勢がすべて投げさせられて大量の資金を失うことになった前が8.6ですから絶対的な状況としてはまだまだ上げの余地があることを示唆しています。
Data BofA
為替の場合には上昇はじり高でも下落は常に短時間で大きく下げるわけですから本体は下落相場にうまくのって短時間で大きな利益を上げることが猛烈に効率のいい取引となるわけですが、なかなかショートポジションをつくるのが相場の下落にミートさせることが相当難しいことを感じさせられます。
これがわかればかなりの長者になれそうな感じですが、なかなかそうは問屋が卸さないのがリアルな取引の状況です。
そんな上昇一辺倒に見える米株市場でも暴落とは言わなまでも多少のたわみがでる可能性は高そうで、ドル円の場合そうした状況で下落をどううまくとれるのかが大きなポイントになります。
まあ下落に乗れなかった場合には底値で買い向かい再上昇で利益を獲得するというのも十分にありますが、できることなら早くて大きな利益のとれる下落局面に参加できるようにしたいものです。
ドル円に関しては下値で買い支えるGPIFをはじめ生保などの機関投資家は上昇すると確実に下からもっていたロングポジションをリカクするとともに売りを入れているようで、当然下値では買い戻すという上下循環売買を延々と行っているようですから110円を超えたところで上髭がつきはじめたら一度売ってみてそれなりの下落次点で買い戻すというプレーを行ってみるのもよさそうな状況になってきています。
もちろん現状では大暴落をゲットするというわけにはいきませんが、値幅が狭いということは大きな損失に巻き込まれることが少ないことを示唆しているわけですからこうした売買を真剣に考えてみるタイミングになっている可能性が高そうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)