郵貯マネーとはゆうちょ銀行に預金された個人の資金のことで総資産200兆円以上のうちほぼ8割以上が有価証券での運用を行っています。
もともとは郵便局はひとつの組織でしたから、ゆうちょマネーというとこの預金に簡易保険で集められた資金の運用も該当していましたが、いまは完全に民営化して別会社の形態になっていますので、ゆうちょマネーといえばゆうちょ銀行に預金あれた資金とことを言うといえます。
多様な運用へとシフトするゆうちょマネー
もともと郵便局は全国津々浦々にあり、国が運営している金融機関でしたからたいした利息はつかなくても安心して利用できるということが大きな後ろ盾になり預金が個人からの預金が集められた金融チャネルとなりました。
そのあめ運用も安全性が第一とされ、国内の国債の購入による資金運用が主体で、堅実ではあるもののリターンの少ない運用がある意味でゆうちょの特徴ともなっていたのです。
しかし民営化により国内のメガバンクとも対等に戦っていることが余儀なくされた上、日銀が国債のゼロ金利政策をうちだしたことから、まともに収益を受け取れるものに投資せざるを得なくなっており、今では国内外の債券や有価証券への投資へとシフトしている状況にあります。投資総額はほぼ160兆円以上となっており、メガバンクの投資額よりも大きいほどの規模であることから、それがゆうちょマネーと呼ばれる所以になっています。
問題は低い投資能力
このゆうちょマネーは民営化したあとも準公的機関などとも呼ばれる存在で、国からの要請があれば株を買い支えたりドル円を買い支えるのに都合よく使われている可能性がかなり強い存在となっています。
もともと長年日本国債を主体に購入してほとんど海外投資の経験もないままにぼんやり投資をおこなってきた国内でももっとも生ぬるく知見の乏しい機関投資家であるだけに、いまや国内の地銀と同様に海外の債券などに投資すると為替リスクだけも儲からない存在になりつつあるようで、ここから先は自助努力でいかに投資の能力を高めることができるようになるかが大きなポイントになってきています。
この状況はゆうちょ銀行のメインユーザーである高齢者や地方在住者などによく知られていないことももうひとつのリスクといえます。
日本人の個人金融資産の巨大な塊が、元来はリスク選好型のマネーではないのもかかわらず、リスクを含んだグローバルな市場での投資に乗り出しているわけですから、ある意味ではかなり危ない存在であることは間違いなく、ここから先一体どういう存在に成長していくことになるのかが注目されるところです。