通貨バスケットとは、固定為替レートの1形式です。複数の国の通貨を決まった割合で、まるで1つのかごに入れたかのようにとらえてできる指標に自国の通貨を連動させます。
特定通貨の変動に左右されにくい
通貨バスケットを用いれば、自国通貨の価値が、ほかの複数通貨と連動します。この仕組みによって、米ドルをはじめとする特定の通貨のレートだけが大きく変動した場合に、自国通貨の価値が急変するリスクを下げることができます。
例えば、米ドルだけに連動していれば米ドルの価値が20%下がると自国通貨の価値も20%下がります。
いっぽう、米ドル50%、日本円50%に連動していれば、米ドルだけが20%下落した場合、自国通貨の下落幅は10%ですみます。自国通貨の価値が急変すれば、生活必需品の輸入などに支障が出る可能性があります。特に、自国経済があまり丈夫でない国では、為替レートの変動によっては国の経済が完全に破たんしてしまうこともありえます。
そこで、通貨バスケットを用いることで、主要先進国1国だけの為替レート変動に自国経済が左右されるのを防ぐことができます。
連動する通貨が多すぎると管理が面倒
通貨バスケットでは、バスケットに含まれる通貨のレート変動に応じて、外貨を売買して自国通貨のレートを調整します。
したがって、バスケットに含まれる通貨が多すぎると、売買を行わなければならない外貨の種類も増えてしまいます。バスケットに含まれる通貨が多いほど、為替レートの安定にはつなげやすい反面、管理が面倒というデメリットがあります。
したがって、通貨バスケットを採用する場合は、連動させる通貨を工夫し、為替レートの安定と固定レート維持にかかる手間のバランスをとる必要があります。