リスクオフ、リスクオンというのは相場がセンチメントを示す言葉で、本国アメリカでは長く使われてきたのかもしれませんが、日本でこうした言葉が定着したのはリーマンショック以降と思われます。
このリスクオフ、リスクオンというのは絶対的な数値等で切り替わるというよりは、もっぱら投資をする人間の気分に依存した言葉であり、それを正確に把握するのはある意味で結構難しいものでもあるのです。
リスクオフとは・・
リスクオフはその言葉のとおり、投資行動がリスクを避ける状態のことを言います。一見リスクがなくなったのかと誤解する向きもいますが、リスクが高くなる可能性があるためにそれを避けた投資行動をすることを指します。
リスクオフの相場が起きる要因としては経済指標などが悪化した場合や、株式、債券などの市場が大きく下落した場合、さらに地政学的リスクが発生した場合など様々な要因で起きることとなりますが、どの場合でも投資資金は安全資産へと逃げ込む動きをすることになるのが特徴です。
為替で言えばドルや円を買う動きが強まることになりますが、ドル円では円高に動くことが多くなります。一昔前まではドル、円のみならずスイスフランなども安全通貨としての需要がありましたが、2015年1月に対ユーロでの無制限介入をスイス中銀がギブアップしてからは安全通貨としての信頼性が失墜することとなり、最近では専らドルと円が中心的な通貨になっています。
ただ、地政学的、あるいは政治的にアメリカのリスクが絡む場合には円に逃げ込む資金が増え、円高だけが進行するといったケースも見られますので、注意が必要です。リスクオフ時には株式などへの投資が米国債など安全な債券へとシフトすることもありますが、直近では債券も売られ、株価も下落するといった相場の相関が見られることからリスクオフ時には投資資金が現金へと回避するケースも増えています。
リスクオンとは・・
リスクオンはリスクオフとは逆に相場状況が好転していることからリスクの高い資産への投資行動が盛んになる状態を言います。株価が大きく上昇したり資源国通貨が買われたりするのがこうしたセンチメントでの相場状況であり、円やドルは逆に売られることとなります。
ドル円に関してはリスクオンになるとドル高円安となるのがほとんどです。リスクオンという状況は日々変化することになり、政治情勢、経済的な状況の変化などにより昨日までリスクオンだったものは本日はリスクオフといったように切り替わるのが相場の常であり、長期に渡ってリスクオンになるということは、実際の相場ではほとんど見受けられないのが実情です。
逆にリスクオフ状態というのはリスクを回避するものとなるため一定期間続くことが多くなります。最近では先進国のどこかの相場でリスクオンになれば一気に世界中で同じようなセンチメントが波及することになりますが、逆にリスクオフとなると、これまた一気にあらゆる相場に同様のセンチメントが到達することになり、これに巻き込まれるとあらゆる金融市場の商品が影響を受けることになるため非常に注意が必要になってきているといえます。