「リセッション」とは日本語では「景気後退」のことをいいます。学術的、あるいは金融市場的には実質「GDP」が2回の四半期を連続してマイナス成長に陥った場合にリセッション入りとされています。
また短期成長率が長期成長率を4ポイント以上下落した場合もリセッションと判断されることになります。日本政府は後者の方の考え方をとっていますが、グローバルでは「GDP」のマイナス成長を判断材料にしている国が多くなっています。
国内景気が後退するということは、消費が落ち込むことを意味しますから経済活動全般に衰えることになり、特に日本のような資源輸入依存国の場合には、あらゆるものの輸入も減少することになり、為替にも影響がではじめることになります。
また株価なども下落することになりますので、為替もそれにつられて下落が見込まれることになります。
リセッションは通貨安の元凶
「リセッション」に陥りますと、どうしても通貨は売られる方向になり、どの通貨でも基本は売られることになります。
しかしながら、最近のグローバル経済では特定国の経済だけいいということはなく、グローバリズムは世界全体で「デフレ」が引き起こされるといった問題も起きていますので、あくまで為替への影響は相対的なものになってきているとも言えるのです。
たとえば、日本はここ20年近く「デフレ」が進行したことにより円高が進行する結果となりました。景気は決してよくなくマイナスの「GDP」からリセッション入りした時期もありましたが、円高は進行するという、経済のセオリーとは逆の動きを示現させることもあるのです。
とくに世界経済は全体としてリセッション入りするという動きが顕著になっていますので、為替の世界でリセッションの影響を捉えることを考えますと、個別の国の状況とは異なる動きになることも想定する必要があるのです。
世界は通貨安戦争の真っ只中
今やどこの「中央銀行」も大きく金利を下げることで、自国の通貨を切り下げて通貨安に持ち込むことで景気回復をはかろうとする政策に躍起ですから、特定の通貨だけが売られるということにはなかなかなりにくいのが最近の相場の特徴といえます。
表向きには先進主要国を中心に、過度な通貨安政策をとらないことが合意されていますが、現実の政策では各国ともに自国通貨をとにかく切り下げる動きを活発に行っており、リセッションが直接的に特定国の通貨に与える影響は昔のような形にはならなくなりつつあるともいえます。
たとえば米国は世界で最も景気のいい国として認識されていますが、2015年末に利上げしてからは意識的に「ドル安政策」をとるようになっており、景気の動向と為替相場は必ずしもリンクしなくなってきていることがわかります。