公定歩合とは、中央銀行が、民間の金融機関にお金を貸し出す際の金利のことです。この金利を上げ下げすることによって、中央銀行は景気の落ち込みや過熱を抑える役割を果たします。
金融緩和の1手法が公定歩合の引き下げ
リーマン・ショック後に耳にすることが多い「金融緩和」の手法の1つが、公定歩合の引き下げです。公定歩合を引き下げれば、民間の金融機関はお金を活用しやすくなります。
その結果、より多くの企業に融資したり、株式や債券などの投資に振り向けたりする金額が増えることが期待されます。
実際、「失われた10年」などと呼ばれる長期の不況を経験した日本では、公定歩合を極めて低い水準に抑えて景気浮揚を目指す「ゼロ金利政策」が行われました。
公定歩合の上下は為替相場にも影響あり
公定歩合を上げ下げすることは、外国為替相場にも影響を与えます。一般的に、公定歩合が高い国のほうが高金利である傾向にあり、通貨高になりやすいです。
例えば、アメリカ合衆国が利上げに踏み切った際に、日本がゼロ金利政策を継続している場合を考えると、米ドルが値上がりし、日本円が値下がりする円安ドル高になることが想定されます。
したがって、公定歩合を上げ下げする際には、自国の経済状況のみならず、外国為替市場の動向も意識する必要があります。
特に、主要先進国の公定歩合には、多くの投資家が注目しているため、上げ下げには極めて慎重な判断が求められます。
公定歩合の調節だけでは景気調整には不十分
公定歩合を調節することは、景気の調整に役立ちますが、特に近年では、公定歩合の調節だけでは景気をうまく調整しきれないケースが多くみられます。
例えば、景気を浮揚させたい場合には、公定歩合を単に下げるだけでなく、市場に出回るお金の量を増やす量的緩和や、緩和を長期にわたって続ける姿勢を示すなどする質的緩和といった取り組みを組み合わせるようになっています。