第二次大戦後の国際通貨体制の下では、どの国も自国通貨とドルとの為替相場を固定しなければなりませんでした。
これが「米ドル」を基軸通貨にすることにつながり、それが結果として国際通貨制度に整合性をもたらす大きなきっかけとなったのです。
そもそも基軸通貨とは国際通貨として世界中で幅広く利用される通貨を意味し、戦前ではイギリスの「ポンド」がこの役割を果たした時期もありましたが、戦後は「ドル」がこの役割を全て担ってきたといえます。
しかし最近ではユーロ圏では「ユーロ」だけでも十分に通用するようになってきており、必ずしもドルを中心に考えない国も登場しつつあります。特にロシアや中国は政治的ないリスクマネジメントも含めてドルからユーロや他の通貨へと外貨準備のリバランスを行うようになっており、世界的な政治のパワーバランスの中でドル一辺倒の外国為替状況ではなくなってきている状況がうかがえます。
今後のドルの動きが大きく注目されるものとなってきているのが現状です。恐らく基軸通貨に対する意識変化はさらなる新興国や中国といった国から生じていくことになりそうで「QE」後の経済を見据えて「FRB」が強いドルを模索する中にあってこのままそうした流れが構築されることになるのかどうかも大きな注目点となっています。