実需とは、為替相場においては、貿易決済などのために実際に通貨の交換を必要として行われる取引を指します。
差益を獲得することを目指す投機とは反対です。
貿易決済の実需は為替レートに影響
近年、世界各国では貿易がより一層活発化しています。それに伴い、通貨の交換を行わなければならない場面も増加しています。
そのため、貿易を行っている企業が、自国通貨と他国通貨を交換する取引が、為替レートにも影響を与えています。実需に基づいた為替レートの変動は、複数の国の間での貿易を均衡化させる働きを持っています。
たとえば、日本がアメリカに大量の輸出を行って貿易黒字となった場合、日本企業はアメリカで受け取った米ドルを日本円に交換します。
この「円買い・米ドル売り」の取引が活発に行われれば、円高ドル安が進みます。円高ドル安になると、日本企業が輸出する製品はアメリカにおいて割高となり、輸出額を抑える働きが生じます。輸出額が減れば、円高ドル安につながる為替取引の規模が縮小し、再び輸出を行いやすくなる仕組みです。
投機的取引が多い
現在の外国為替市場では、差益を狙った投機的な取引が多くなっています。そのため、実需のみに基づく相場で見られた、自動的に貿易が均衡に向かうといった働きには期待できなくなっています。
しかし、投機的取引が活発なことは、外国為替市場にメリットももたらしています。というのも、実需だけで為替取引が行われていれば、取引が少なくなり、適切な為替レートが形成されなくなる可能性が高まります。投機的取引が多数存在することで、為替市場の流動性が高まり、実需も含めて、通貨を交換したいときに交換できる環境が整えられています。