目次
伊勢志摩サミットは正式名称としては第42回先進国首脳会議と呼ばれるG7首脳会談で、5月26日、27日の両日三重県志摩市阿児町神明賢島で開催されました。
第一次の安倍内閣のときに洞爺湖でサミットの開催を決めましたが、ご本人はその開催に出席できないまま辞任をしてしましたから、安倍首相にとってははじめてのサミットということになりかなり力を入れることになったようですが、結果としては特別の大きくまとまった声明を出すこともできず、各国首脳を集めた観光サミットの様相を呈したものとなりました。
伊勢神宮訪問や名産品を集めた晩餐会など観光性の高いイベント
もともと会議は二日間ということですから、首脳が直接的に話しをする時間は非常に限られたものでしたが、その中で伊勢神宮を訪問したり、晩餐会で名産品を食したりと先進国首脳会合の本質と異なるところに力が入れらた感はまぬかれません。
主要国が協調して大型財政出動するという声明の設定は完全に失敗
安倍首相はこの会議が開催される前の5月の連休に欧米の主要国を訪問し、協調して財政出動を行うことを働きかけましたが、ドイツもフランスもほとんど関心はみせませんでした。
イギリスはEU離脱を問う国民投票を控えてそれどころではなく、オバマは退任前で何も新しいことをする立場にはなかったことからどこからの賛同も得られず、結局各国がその状況に配慮して機動的に実施するといった殆ど内容のない声明に終始することとなってしまいました。
安倍首相のリーマン前のリスク発言にも違和感
また安倍総理は会議終了後消費増税を再延期することを念頭において、足元の世界経済はいま、不透明感が増大し、さまざまな下振れリスクを抱えていると訴え、リーマンショック級の危機が迫っていると発言しことにも各国から違和感が唱えられました。
各国が大人の対応を見せたためにそれ以上の議論にはなりませんでしたが、どうも国際会議の自分たちの利害に利用しようとする姿がかなり目立つものとなってしまいました。
その後のBREXIT騒動ではなんの協調行動もできず
とりあえず2日間の観光イベントをこなし無難に終了し、これといった成果も見られなかった伊勢志摩サミットですが、その後6月23日にイギリスは国民投票の実施し、まかさのEU離脱が決定することとなってしまい、金融市場は大きなリスクに見舞われることとなりました。
結局首相国が連携したのはドルの流動性低下を防ぐための資金供給程度にとどまり、協調介入を行ったわけでもなく、キャメロン首相は責任をとって辞任となりました。
ある意味で安倍首相のリスク発言は当たったとネットでは話題になりましたが、まともにこうしたリスクについても話し合いがなされなかったことろ露見させる結果となった次第で、もはやG7会議のようなイベントが形骸化して意味を持たないことを改めて市場に知らしめることとなっています。