イールドカーブとは、まさに利回りの曲線のことをいいます。これは横軸に債券の残存年数を左から右に向けて大きなものに並べ、縦軸に最終利回りをプロットしたときに各債券の残存年数と最終利回りに対応した点をつなぎ合わせた曲線ができますがこの曲線のことを呼ぶものとなっています。
イールドというはそもそも利回りの意味ですから、短期債から長期債までの金利のポイントとつなぎ合わせるとそのカーブを確認することができるようになります。
中央銀行が利上げを行いますと、まず短期金利はその利上げにリニアに反応する形で金利を上昇させていくことにありますが、10年歳以降の長期金利については中央銀行が操作できるものではないことから市場の判断で上昇か下落かが決まることになります。
先進国の中央銀行の中では唯一日銀だけが長期金利もコントロール可能であるとしてゼロ金利を貫いていますが、本来はこうしたことはありえない政策となっています。
経済状況によってはイールドカーブがフラット化することがある
本来長期金利は高く、短期金利はそれよりも低く推移するのが金利設定のもっとも好ましい状況といえ、長短金利差が利益になる銀行にとってもその形が望ましいわけですが、時としてこのイールドカーブはまったくフラット化してしまうことがあります。
これは景気の悪化を示すものであり、場合によっては短期金利のほうが長期金利を上回るという異常な状況を示現することすらあるのです。
しかし過去にこのような事態に陥ったときはその後逆転が解消する途上で株式市場が耐え切れずに大きな暴落を引き起こすことがわかってきており、相場の先行きを占うバロメーターとしてもイールドカーブの状況変化は非常に示唆に富んだ情報を投資家に提供してくれることがわかってきています。
本来金融政策ではある程度の金利のコントロールを中央銀行が行うことはできてきましたが、一定の金利に釘付けをするといった方法は資本主義の市場では本来はありえないことであり、ここ10年あまりの先進各国の中央銀行の政策はかなり事前に例を見ないことが多くなってきているのが実情です。
それだけに非伝統的な緩和措置の巻き戻しとなったときに中央銀行の思惑どおりに市場をコントロールできるかどうかはまったくわからなくなりつつあり、相場の先行きを占う意味でもつねにこのイールドカーブの推移をチェックすることがきわめて重要になってきているといえるのです。